十字屋敷のピエロ |
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いや〜、随分と御無沙汰致しました!なんだか巷の噂では、「このコンテンツはこのまま消滅するのでは?」と言う声も、有ったような無かったような・・・・・面目ない(^^;) でも復活しました〜! さて久しぶりに御紹介する建物は、その平面が『十字』の形をしている、その名も十字屋敷を取り上げてみる事にします。この十字屋敷は、日本ミステリー界の巨匠と呼ばれた東野圭吾氏の「十字屋敷のピエロ」と言う作品中に登場する建物なのですが、まずはそのあらすじからご紹介。 物語は竹宮産業の女社長である頼子夫人が、不可解な自殺をする所から始まります。創業者の父が、その才女振りに社長の座を譲ったぐらいの娘ですから、頭脳明晰で切れる女性でした。その頼子夫人が事も有ろうに、自宅のベランダから発作的としか思えない状況で、身を投げて死んでしまいます。 そして彼女の四十九日の夜、頼子夫人亡き後社長の座に付いた夫、宗彦とその秘書である三田理恵子までもがナイフで刺されて殺されてしまうのです。 現場に残された痕跡からは、内部犯とも外部犯とも断定できず、捜査は混迷を深めて行くのですが、実は事件を唯一目撃していた人物・・・いえ、人形がいたのです。この人形こそ頼子夫人が自殺する直前に購入した「不幸を呼ぶピエロ」だったのです。このピエロ、有ろう事か人形自信の視点で語ります。 (地の文に近いです) この人形を追い続ける人形師、悟浄真之介が絡んで事件は更に謎を深めていく・・・・・と言うお話なんです。(ふぅふぅ ここまで書くので疲れたぞぉ・・・) 小説の中身は「まあまあ」って感じでした。だって私・・・建物の平面図を見た時に、どんなトリックが使われそうなのか感ずいちゃったから。(嘘ではない!伊達にカーキチは名乗ってないのだ。エッヘン!) とまあ、調子に乗るのはこの位にして、本題の建物の追求に迫るとしますか。
また2階建てと有りますが、正確には2階建てではありません。 道路が敷地南側に有るのですが、その道路からは2階建てに見えるだけで、実際には下図のように3階建てに成っています。つまり土地の中央部で段が付いているのですね。そして建物も、その段に添った形で建てられていると言う事です。
北側から見れば3階建てと言った具合です。 頼子が飛び降りたのは左図で言うと、北側の3階バルコニーからなのです。 2階からの飛び降り自殺と言うのも、小説としては説得力無いですからね(笑) 余談ついでにもう一つ付け加えれば、建築基準法上、直接道路に接する階を『避難階』と呼びます。この避難階は、通常1つの建物には1箇所の場合が多いのですが、今回のような斜面地建築などの場合、2箇所あるいは3箇所となることもあり、いざの際の脱出には便利ですよね〜。この建物の場合は『避難階が2箇所有る』事になります。 さて今度は建物大きさを考えてみる事にしましょう。その為には、最小単位である個室の大きさを推理するのが基本なのですが、今回は個室から推理するのではなく、細かい所からボチボチと積み重ねてみる事にします。 まず建物の用途は完全に一戸建て住宅(専用住宅)これは良し。2階の個室が並ぶ階には十字型の平面の中央に、同じく十字型に走る廊下があります。この廊下の幅から考えてみることにします。 廊下は、両側に部屋を持つ中廊下形式になっています。(つまり部屋が向かい合っている配置) しかもそれぞれの扉は廊下に向かって開く形です。仮に扉の幅を80cm程度と仮定した場合、90度で開かれていても、その横を人が通れる幅がある筈です。
車椅子自体の横幅は、市販品で50cm〜70cm。左図の参考写真のタイプでも65cmはあります。 となれば、この家がお金持ちだと言う事を考慮して、廊下の幅は2.0〜2.5mは有ると考えられます。でも計算がしやすいので、2.0mと仮定しておきましょう(そうさせて下さい ^^;) さて、これで廊下の幅は仮定する事が出来ました。次の問題は居室の広さです。本の中には2階の略図だけが載っていますが、その略図を参考にするまでもなく、ホールを中心に配された東西南北の居室は全て同じ大きさだと考えられます。 なぜなら・・・、敷地形状から推察し、北傾斜ながらも景観は良いと判断できるのに、この建物の設計者は、あえて東西に長い建物を作っていない点からです。つまり建物の中心から、完全にシンメトリーのデザインに心掛けていたと言わざるを得ないのです。(勿論、こうしないといろいろ問題が有るのですが、それは置いといて ^^;) それに何よりも、この作品中の最大のトリックを実行するには、建物の中心から東西南北の出っ張り部分に当たる居室が、全て同じ大きさ・広さでなくては成りません。(これ以上詳しくは書けませんが) お読み頂ければ、嘘ではない事は御理解いただけると思います。と言う事から、全ての居室の広さは同じだと結論致します。 「それじゃあ、一部屋の広さは?」と言うことなのですが、香織の部屋を見た水穂が、こんなふうに表現しています。『洋間で10帖以上はあるだろう。ベッドと机、それから簡単な机と椅子が置いてある。そしてなにより部屋の隅にはシャワールームまである』と。 これは水穂の感想では有りますが、ほとんど「地の文」と考えて問題無いでしょう。つまり作者の表現ですね。仮に若干の幅を持たせても、部屋の広さは12帖程度ではないかと思います。これを平方センチに直せば凡そ19.4u。一般的なホテルのツイン・ルームよりも若干広い事になります。 ところが、ここで疑問が一つ。 久しぶりに十字屋敷を訪れた水穂に、割り当てられた部屋は香織の部屋の向かい側。水穂自信、一度は自分の部屋に入っている筈なのに、シャワールームの存在に驚いている事です。なぜなら2階廊下ホールには「シャンプードレッサールーム」も「トイレ」も設けられているのです。つまり香織の部屋以外には、シャワールームは無かったと言う事でしょう。だったら何故、香織の部屋にトイレも設けなかったのか?これは悩んじゃいますねぇ・・・解らん(>.<) 更に言えば、自殺した頼子の部屋を、葬儀に参列する為に訪れた頼子の妹夫婦が使っているのです。大の大人が二人寝るのですから、シングルベッドって事は無いでしょう。それに、その為に簡易ベッドを運び込んだとも思えない。とすればベットは最初から大人二人が寝る事に絶えられる広さだったと考えるのが妥当ではないでしょうか?と言う事は、部屋に拠ってベッドの大きさや造りが若干違うのか? そこで私の解釈なのですが、香織は車椅子を使っている為、香織の部屋だけにシャワールームが設けられており他の部屋には無いのだと考えます。またベッドの広さに関しては、頼子の部屋のベットだけが広かったと考えるのが妥当でしょう。(それ以外理由が浮かばん!) これって珍しいケースですよね? 今までに取り上げた豪邸の数々は、すべて個室にトイレ・バスが設けられていましたから・・・。もっとも、こっちの方が変ですけどね(笑) と言う事で、やっと2階の平面図のボリュームが掴めました。下図のような感じだと思います。(窓割愛)
これで少なくとも1,2階の面積は計算できます。バルコニーの出を1,5mとして計算していますので、建築面積・1,2階床面積は、こんな感じだと思います。
うっ!またデカイ!(汗)階段部分の吹き抜けを除外していませんが、除外したとしても15u前後・・・。何で、いつもこんなにデカイんだ? まぁ良いけど・・・・・。 では次に1階と地階(便宜上、ここでは地階と書きます)の平面と面積を考えてみます。地階の平面は、本にも略図が載っているのですが、1階の平面は略図すら無いので、これまた想像図です。 まず1階には玄関ホール傍には、『応接間』が有るようです。人形師の悟浄が初めて屋敷を訪れた時に、応接間に通されているから。また地階に下りる階段と、2階に上がる階段及びエレベーターは『リビング』の中に設けられているようです。 ところが階段を下りて来た水穂が、玄関の方から入ってきた刑事が、地下へ続く階段を下りようとしている光景を見たとの描写があるのです。と言う事は・・・・・部屋の区切りが無いって事??? また食事の際には、総勢11名が一同に介して食事をしています。と言う事は向かい合って座っても、片側に5名以上座れる大テーブルを置けるだけの食堂があると言う事ですよね。その辺りを踏まえて考えてみたのが下図になります。
本に載っている地階平面図・及び2階平面図から『階段の位置』は絶対です。でも、これ変な間取ですよね?だって正面玄関から真っ直ぐの所に、地下に続く階段が有るのですから。それにリビングと食堂の関係も離れすぎちゃいますし、建物の中心になる部分が、ただの通路になってしまいます。玄関から入って来た所に扉でも有れば別ですが、これも設けられていないとなれば、なんとも効率の悪い動線ですね。
で、地階の平面図としてはこんな感じです。このオーディオルームで、宗彦とその秘書が殺されます。 この地階の面積としては58.0u(17.54坪) これでようやく建物全体の面積が出揃いました。 (個人的には階段の位置が気に入らないけど) では、面積をもう一度、改めて見てみましょう。
建物は3階建て。延床面積は658.00u、197.45坪。 やっぱりデカイ!(^^;)毎回、建物が大きすぎる・・・。 次の問題は構造です。 建物が斜面地に建っていて、一部が地面に埋まっていると言う事。建物の中央ホール部分が、とても広い空間であると言う事から木造では無いと考えます。それじゃあ鉄骨か?チッチッチッ 甘いぜベイビィ〜(^^;) 私は鉄筋コンクリート造、それも壁構造では無いかと考えます。この壁構造と言うのは、太い柱と大きな梁で持たせるのではなく、少しだけ厚い壁が柱の変わりをしていると言ったイメージの建物なんです。ですから壁の中の鉄筋の量も多ければ、当然壁の厚みも少し厚い。梁も壁と同じ厚みの物なので、見た目は壁と同じなのです。ですから見た目もスッキリ作れるのですが、実は若干問題も有るんです。 それは、基本的に上下階の壁の位置は揃えなければなら無いと言うこと。壁が柱の変わりをしているのですから、当然と言えば当然ですよね。と言う事は1階の平面図・・・・・変じゃ?(^^;) うぅぅぅん解らん。 きっともう少し1階の中央部分に、幅の短い壁が立っているのかもしれませんねぇ。 さて鉄筋コンクリート造と言うことになれば、建物の工事費は、それなりの額になると思います。先ず斜面に建てると言うだけでも、仮設費が平地の場合よりも高くなるでしょう。完全に車椅子対応している点も考慮すると、丼勘定ですが坪辺り90万円てところでしょうか?とするとザッと1億7700万円かぁ・・・・・。なんで、こんなに高いの?(笑) しかもあんまり住み易そうじゃないし(^^;) 建築基準法的には問題無しでしょうねぇ。全ての居室は外壁に面し、採光・排煙とも確保出来そうですし、廊下の幅も問題ありません。また2階廊下ホールも、4方向でバルコニーと接している点から、排煙は取れそうだし消防法の2方向避難も問題無いと思います・・・・・なんか悔しい。 とまぁ、ザッとこんな感じだったのですが、如何だったでしょうか?「十字の平面」に惹かれて、この作品を取り上げてみたのですが、建物的にはあまり面白くなかったかもしれません。どうしても建物が大きくて、土地が広いと分析し難い割には、分析した結果が面白くない。つまり建物が大味に成ってしまう。 次の建物を選ぶ時には、この辺りを注意して選ばないと、分析が難しい割には面白く無いと言う最悪の結果になってしまいそうです(反省) それではまた! 補足:このコンテンツは無くならないのである(ただ更新間隔が以上に長いだけで ^^;)
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