感想

                  














住まいとほどよくつきあう
宮脇檀 著|新潮文庫 発行|¥440−| | 

住宅建築家として活躍された、宮脇氏が書かれた洒落たエッセイ集。

・設計者と住み手はすれ違う
・主婦達のミステリアスな午後
・住まい方はしまい方?

等など。
94年に出版された本ですが、(書いたのは85年)今でも、とっても為になるでしょう。



楽しく読める部分、あるいは住み手として、また設計者として耳の痛い話も有りますが、下手な「HOW TO本」を読むのなら、間違い無くこっちを読まれた方が「家造り」には役に立ちます。

単純な読み物としても、充分楽しめる所が宮脇さんの凄い所でしょうね。












建築屍材
門前典之 著 |東京創言社 発行|¥1900−| | 

第11回鮎川哲也賞受賞作です。
事件は名古屋市内の繁華街に建設中の、10階建てのビルの工事現場で起こります。
ナンバリングされた3体のバラバラ死体消失・密室から消える犯人・生乾きのコンクリートに残された不可思議な足跡殺人・空中から現れた凶器の謎と言う具合に、新本格派好きなら喜びそうなアイテムを、工事現場という特殊な空間の中に沢山取り入れた作品でした。

作者自身が建設会社勤務と言う事もあり、現場の雰囲気は感じられます。



建築の仕事に携わり、ミス好きの私には全く辛い内容でした。あえて辛口で言わせていただければ、こんなの有り得ない!。あくまでも娯楽作品であると言う前提に立ったとしても
建設現場で、こんなトリック不可能です!これが公然とまかり通るならば、建物は欠陥建築ばかりになってしまうでしょう。

バラバラ死体の消失方法が×。野帳場の現場を知っている人には一目瞭然です。このトリックが可能なら、現場監督。設計監理者・行政マンは全て無能としか言いようが無い。
密室からの消失トリック然り、足跡亡き殺人、突然現れる凶器の謎然り、全て×

ただし建設現場を知らない方には、「娯楽作品」として通用するかもしれません。テンポは良いですし、次々と謎が飛び出し、飽きないのは確かです。

次の作品も建設現場等をベースにするとしたら、もう一冊だけは読むかもしれませんが、その時にはもう少し説得力のあるトリック希望!

■お断り■
完全に辛口批判してますが、建築的な視点が有るからで、そうでなければニコちゃんマークは普通だと思います。次作に期待してます!











家を造ることは快楽である
藤森 照信 著 |王国社 発行|¥1800−|


建築史家として名高い「藤森氏」が、自邸「たんぽぽハウス」を造った時の事、また「ニラハウス」建設の経緯等が面白おかしく書かれています。

その他にも「前川國男邸」・「堀口捨己邸」等のお話。(いづれも日本建築界の基礎を作られた方々で、建設関係者でこの名前を知らない人は居ない・・・・・と思う。)



藤森氏の「家造り」の話は面白かったのですが、後半はチョッと個人的には読みにくかった。(勉強にはなりましたけどね)

建築と自然の関係に対する考え方は、面白かったです。
 










大密室
著者<下記参照> |新潮社 発行|¥1500−|


7人の作家が、『密室物』のミステリーを書いた短編集です。

・有栖川有栖
・恩田陸
・北森鴻
・倉知淳
・貫井徳朗
・法月綸太郎
・山口雅也
<敬称略>

それぞれの個性溢れる短編は、密室と言う難しいテーマを、物の見事に料理されていて、結構面白かったです。また、それぞれ作品の「あとがき」的に、密室に対する考え方を語っているのは、本格好きには(密室好きにも)お徳っです。



皆さん、お見事だと思ったのは、騙し的な「叙述トリック」を使っていなかったこと。これ簡単そうで凄く難しいと思います。(山口氏は微妙ですが) 『もう完全に出尽くした』と言われる密室トリックを、各人の間性と理論で、上手にまとめ上げているのはお見事でした。

この中に限って言えば、恩田氏の“ある映画の記憶”は、単に密室物を扱ったミステリーの域を超えて、母子愛みたいなものを感じる(ある意味、チョッと暗め)きちんとした文学に成っていたと思いました。

短編ミステリー・・・・チョっと奥が深いなぁ〜。











ラグナロク洞 《あかずの扉》研究会影郎沼へ
霧舎巧 著者|講談社ノベルス 発行|¥880−|


台風の夜、人里離れた隠れ里の村は外界から孤立した。その村の中央部に建つ建物の地下深くには、奇怪な洞窟が存在していた。そして、その洞窟に閉じ込められてしまった5人の男女に、謎の連続殺人鬼の魔の手が迫る!



典型的な「嵐の山荘もの」でした。二重三重の密室殺人あり、ダイイングメッセージ考あり天才建築家の設計した謎の建物あり、ツイン名探偵ありと、兎に角盛り沢山なんです!
あっ、そうそう!「ミッシングリング」も有りました。所謂「ABC殺人」とか「数え歌見立て殺人」みたいな奴です。

兎に角盛り沢山なんですが、如何せんパーツが多すぎ!結局終盤、ゴチャゴチャになってきて、畳み掛けのテンポが悪かったのが残念でした。それと生意気言えば、人が書けてないのが読みにくかったです。

笑えたのは、本書の中に天才建築家“中村青司”の名前が出ていたこと。この方、森氏のファンか?(笑)

前作「カレイドスコープ島」も既読ですが、こちらも面白かったので、次も読んでみたいと思います。


さあ!中村氏の本を読もーっと!