感想

                  







黒と茶の幻想
恩田陸 著|講談社 発行|¥2000−| | 

久しぶりに集まった学生時代の友人4人が、Y島への「非日常的な旅」を企画する。
彰彦、蒔生、利枝子、節子の4人は、それぞれの現実・日常から離れ、フェリーに乗り込んだ。幹事の彰彦は、それぞれ「美しい謎」を持ち寄って、旅をしながら謎解きを楽しもうと提案していた。

物語は4章に分かれ、それぞれの視点で描かれているのですが、最大の謎は大学卒業時に、忽然と姿を消したもう一人の友人「憂理」の事だった。



読後、良い意味で考えさせられる物がありました。
登場人物それぞれが抱えた現実的な問題や、「生きること」・「老いること」への感じ方。

高校を卒業してから19年が経っていると書いて有ることから、登場人物は37〜8歳。その年齢の男・女としての生き方や、感じ方・・・・・なんか目線が同じで理解出来ました。

「愛の証明」などには、思わず共感。自分は蒔生に似た考え方をしているのだとも気付き、チョッと複雑でもありますが、自分自身を客観視する事も出来た一冊です。

ミステリーファンならずとも、充分楽しめる一冊です。
恩田氏の作品は、まだまだ未読の物ばかりなのですが、個人的には「六小夜」を越える、恩田氏の一番かも?












隣人
永井するみ 著 |双葉社 発行|¥1800−| | 

永井女史が96年に新人賞を取られた全6話の短編集です。
書名にもなってる「隣人」を、簡単にご紹介。
猫のサシーを愛する主婦・美由紀、そして夫の幸介は、2人と1匹の気ままな暮らしを楽しんでいた。

ある日、美由紀の実家である鵠沼の家に、2人は掃除を兼ねて遊びに行くことにした。海外出張で不在にしている兄夫婦の家は、2人にとっては別荘感覚。そんな2人が酒を楽しみ、夜の海岸を散歩する事になるのだが、悲劇はここから始まる。



女性が書く女性って、何でこんなに怖いの?って感じでした。
「絶対に、こうだったら嫌だなぁ〜」と思う方向に、必ずオチが向かっています。そう言う意味では、それぞれの話の結末は予想しやすかったのですが、それでも怖いものは怖い。
もっとも読み手の私が男性だからであって、同性の方が読まれると「こんなの普通」と言うのかもしれません。(それはそれで、また怖いですが ^^;)

一番怖かったのは「洗足の家」。
幾つになっても女性は、大切にしなければ・・・うんうん(笑)

最終話の「雪模様」は、どこかで読んだような気がしたのですが、気のせいだったのだろうか?謎です・・・。











妻が横に立っている
上前淳一郎 著 |文藝春秋 発行|¥1143−|


「読むクスリ」と、サブタイトルが付いているのですが、文字通り様々な業界で成功した人の「成功秘話」、あるいは「発想法」みたいなことが、実例を挙げて書かれています。



どちらかと言うと、ビジネスマン向きかも?
「へぇ〜」と、感心させられることも幾つか有りましたが、それだけです(辛口ゴメン)
この年になって、今更「仕事に対しては、こう取り組まねばならない」みたいな本読んでもねぇ〜・・・・・・まして会社勤めしてないし(^^;)

まぁ着想の面白さや、商品を開発するヒントは、こんなところに有ったのだ!・・・みたいな所は面白かったです。

書名の「妻が横に立っている」と考える事で、毅然とした父親的姿勢を職場でも持ち続け、プライドを持って仕事に当たろう・・・って言うのも、考え方は理解できますが、それが実践できる人なら最初から出来ているような気がしないでも無い(笑)











破線のマリス
野沢尚 著 |講談社文庫 発行|¥619−|


首都テレビ放送局のニュース番組で、独自の視点で斬新な映像編集を行なう遠藤瑶子。
瑶子は、その斬新さを売りに「事件検証」と言うコーナーで、映像処理を任されていた。
その瑶子のもとに、郵政省職員から「内部告発のテープがある」と連絡が入る。しかしそこには「視覚の罠」が隠されていた。それを知らずにスクープ映像を入手した瑶子は、独断でオンエアしてしまう。

第43回江戸川乱歩賞受賞作品。



「破線」とは、テレビ画面を構成している525本の走査線。「マリス」とは、報道の送り手側の意図的な作為・悪意を指すそうです。つまり「破線のマリス」とは、情報操作と読み直しても良いのでしょう。

途中までは抜群に面白かったです! でも、あくまでも途中まで・・・。
落し方がイマイチでした(辛口ごめんなさい) 折角「フーダニットとホワイダニット」で進めていたのに、あのオチは興醒めです。

謎は残ったままだし、ど〜もスッキリしません。導入部から中盤までが面白かっただけに、予想できてしまった結末が残念でした。