感想

                  








ナイフ 
重松清 著|新潮文庫 発行|¥590−|| 

いじめがテーマになっている5作の短編集。



重松さんは好きな作家の一人。
書かれているのは“いじめ”をテーマにしているのだけど、どこか笑えて、どこか泣ける。
視点が斬新で柔らかくて、奇麗事が無い分納得できる。親の視点から見る話は秀逸!


子供に読ませたい本かも?











明智小五郎対金田一耕介
芦辺拓 著 |原書房 発行|¥1800−| | 

昭和12年の大阪。薬問屋の跡目争いが原因で殺人事件がおこる。
それも事件を未然に防いで欲しいと依頼された名探偵金田一耕介の目の前で。
しかも殺人犯は愚か、死体までもが忽然としまったから、さぁ大変!
一方この事件を新聞で読んだ、もう一人の名探偵明智小五郎までもが事件解決に乗り出した。

表題作を含めた7作のオマージュ短編集。



表題作よりも、「そしてオリエント急行から誰もいなくなった」には笑えた。と同時に、ちょっと唸ってしまった。確かにあのベルギー人は、ちょっと地元ユーゴスラヴィアの警察を馬鹿にしているかも?(笑)

名探偵者のお好きな方にはお勧めだけど、本作を読む前に、この本を読むのはNGだと思います。はい











大江戸温泉殺人事件 
吉村達也 著 |実業之日本社 発行|¥895−|


2003年8月、独走を続ける阪神タイガースは、東京ドームで讀賣との3連戦を迎える。
熱狂冷め遣らぬ試合直後、ドーム横の温泉施設「ラクーア」の近くで一人の男が殺されているのが発見される。

男は阪神のナンバージャージを着、左手に腕時計を2つはめ、更には下着を着けていないと言う奇妙な格好で殺されていた。

熱狂する猛虎ファンを背景に次々と起こる殺人事件!
果たして事件の行方は!



あえて帯びも一緒に表示してみました。
これズルイです。こんな帯見せられたら、大抵の阪神ファンは買わない訳にいかないじゃないですかー。

しかも中には事件の本筋とは全く関係無いけど、阪神ファンには大喜びのネタ満載で、思わず「事件と関係無いじゃ〜ん」と、ツッコミ入れまくり(笑)
これ作家の吉村さんが、18年ぶりの優勝を祝して趣味で書いた本かも?(笑)

だいたい書き出しが9月15日のリーグ優勝を決めた試合の実況中継って何?
思わず当日のビデオ見直しちゃいました(笑)

と言うことですから、阪神ファンにはお勧めの一冊ですが、その他球団のファンの方には、ちょっとねぇ〜(笑) ちなみに私は「永久保存版」です。










死にぞこないの青
乙 一 著 |幻冬舎文庫 発行|¥457−|


引込み思案で大人しい性格の小学5年生のマサオ。
マサオは「飼育係」と言う人と接しなくてもすむ、それでいて楽な係りになりたかった。
そして飼育係になりたいが為に、小さな嘘を付いてしまう。

その嘘がきっかけで担任の羽田先生から嫌われる羽目になり、やがてクラス全員からイジメの対象にされてしまう。

そんなマサオの前に突然表れた不気味な姿の少年。
彼の姿はマサオだけにしか見えない。全身真っ青な彼を、マサオは「死にぞこないの青」と名付けた。

乙一氏のホラー小説。



青の姿も怖いけど、本当に怖いのは羽田先生だと思うし、「こう言うことって有るかも?」と
理解できてしまう自分。イジメの構図を理解してしまったみたいで、その部分が怖かった。

マサオの前に初めて姿を見せた青を、克明に説明しているシーンがあるのですが、ちょーど食事しながら読んでいたんですよね〜〜〜最悪でした(笑)

今思うと、ホラー嫌いな私が読んじゃダメジャン!て感じ。











バッテリー
あさのあつこ 著|角川文庫 発行|¥514−|


中学入学目前に、岡山の田舎に引っ越してきた少年、彼の名は原田巧。
天才的なピッチャーとして絶対的な自信を持ち、それゆえに冷酷で他者を認めない傲慢な少年だった。その巧の前に表れたのは豪。これまたキャッチャーとして類稀なる素質を持つ少年だった。



児童書として有名な本ですが、読んでみたら面白い!!
確か5〜6巻まで出ている本の一冊目なのですが、続きを読みたいと思わせる作品です。

この1作目では、本当に野球している場面は出てきません。
出会って、お互いに「スゲェな〜コイツ〜」と認め合う程度の話までで、本当の野球のシーンは、これ以降の本なのでしょう。それでも十分楽しめるのは、登場人物が魅力的なせいかもしれません。

主役の2人のイメージとしては、傲慢で自分勝手な飛雄馬と、面倒見が良くて親分肌の伴宙太って感じです。(分かる?)

それでいて、何処となく「アパッチ野球軍」をイメージさせるのは、田舎だと言う描写が多いせいでしょうかねぇ〜?ちなみに「アパッチ野球軍」を知らない人は、・・・・・・・・・・居ないと思うので説明省略(笑)

あと個人的には、巧の弟に注目したい。











ガラス張りの誘拐
歌野晶午 著|角川文庫 発行|¥514−|


世間を恐怖に陥れている連続婦女暴行殺人事件。
犯人は何れも被害者の体の一部を切り取り、まるで記念品にしているかのような状況で、
犯人を追い詰める事が出来ない警察に批難の声も集まり始めていた。

そんな中、犯人から少女を惨殺している状況を克明に記した犯行声明が届く。
日本中が引っくり返ったような大騒ぎの中、意外な事に殺された筈の少女が無事に戻って来る。

犯人らしき男は自殺し、事件は無事に終結したかと思われるのだが、本当の事件はココから始まるのだった。



歌野さんと言えば、去年の年末にはいろいろな方面から注目を集めた方。
私、個人的なイメージとしては、有栖川氏と並んで仕事嫌いな方と言うイメージがある(笑)

歌で言うと転調のように事件の方向性と言うか、対象がスイッチする瞬間が有るのですが、その辺りを上手く感じながら読めなかった気がする。
だから読後に「あれ?」って感じがして、折角途中まで盛り上がっていたものが、肩透かしを食ったような気がした。

個人的にはイマイチ、ダメでした〜ゴメンナサイ。











被害者は誰?
貫井徳郎 著|講談社文庫 発行|¥820−|


・被害者は誰?
・目撃者は誰?
・探偵は誰?
・名探偵は誰?

の全4話からなる中編集。
シニカルな名探偵(本職はミステリー作家)と、名ワトスン役(本職は本庁捜査一課刑事)の2人が織り成す新本格物?



貫井さん、こう言うの書けるんだー!って感じで面白かった。
設定はベタな感じだけど、なぞの解明がチャン度されているのでフラストレーションが溜まる事は無い。

個人的には「被害者は誰?」が好き。捻りの捻りが利いていて(謎)











エンジェル エンジェル エンジェル
梨木香歩 著|新潮文庫 発行|¥362−|


寝たきりのおばあちゃんの、夜のトイレの世話をする事を引き換えに、熱帯魚を買うことを許された主人公コウコ。おばあちゃんは痴呆症で満足に話すことも出来ない状態。

ところが熱帯魚の水槽を置いた部屋で、おばあちゃんは不思議な反応を示し出す。
まるで少女のように、夜な夜なコウコと話すのであった。



梨木ワールド炸裂です。
“ほわ〜ん”とか“ぽよ〜ん”とか“さわさわ”って感じなのですが、人によってはホラーと感じるらしいです(笑)

そりゃあ確かに、今まで禄に会話も出来なかったおばあちゃんが、夜な夜なコウコにだけ話し出すのは怖いと言えば怖いですけどね(笑)

これ全てコウコの夢だった・・・なんて感覚でも良いようなお話です。











恋愛中毒
山本文緒 著|角川文庫 発行|¥571−|


とある出版社の事務員として勤める女性、水無月。
チョッと近寄りがたい不思議な雰囲気を持つ彼女が、新入男性社員に付きまとう元恋人の女性を追い払う。

仕事帰りのバーで水無月は新入男性社員に対して、上手に恋愛をするように諌めるのだが、ひょんなことから自分の過去を話し出す。


哀しいほど一途に貫き通す水無月の愛、それは小説家、創路(いつじ)へ向けられたものだった。吉川栄治文学新人賞受賞の恋愛小説。



ふぅーーー。
一気に読み終わった後に溜息をついた。

人を愛しすぎてしまうがゆえに、もう人を愛するのは止めようと決めた水無月の心の中に、ズカズカと入り込む創路。それは創路の図々しさなのか、それとも水無月の弱さだったのか?いずれにしても奇麗事だけでは済まない人の心。

不倫は良くないとか、倫理観が・・・なんて話は置いといて、人が人を愛してしまう・・・と言うか【絶対的に必要としてしまう】事って有ると思う。

昔読んだ、「冬のひまわり」に近いものが有って、ちょっと感激した一冊です。
もし未読の方がいらっしゃれば(特に女性の方)絶対お勧めです。
ただし!!!この水無月って女性、同性から見たら嫌いなのでは?とも思うけどね。

でも良く考えたら、この本有名なんですよね。











日曜の夕刊
重松清 著|新潮文庫 発行|¥629−|


日曜日の夕方、お父さんが居て、お母さんが居て、お兄ちゃん、お姉ちゃん、そして恋人が居る、何処にでもある何気ない風景。

何気ないから見逃してしまいそうな光景を、少しだけ眺めてみれば、それは小さなおとぎ話に似ているのかも?そんな短編集です。



やっぱり「ほわ〜ん」とした雰囲気が漂ってます。
ちょっと読んでいてウルウルしてしまう一冊。(←たんに私の涙腺が緩いのかも?)
でも「おとぎ話」って言う表し方は間違ってないと思う。うんうん

梨木さんが女性っぽい視点で描く「ほわ〜ん」なら、重松さんは父親?っぽい視点で描く
「ほわ〜ん」って気がしなくも無い(←どっちだ?)

ちなみに日曜日に夕刊は無い。
でも日曜日の夕刊ってタイトルが、とっても馴染んでいると思う。これまたお勧めの一冊。



気が付けばミステリー一辺倒から
嗜好が変わりつつある。

まっ、それはそれで良いのだが
誰が読んでも『これは秀逸だぜー!』って
ミステリーにも
出会ってみたい気がする。

例えばそれはどんなの?
と聞かれれば・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
答えられないのですが。