お奨めの建築本


家を建てる前のお勧め本
個人的に好きな建築の本



目を養い手を練れ 宮脇檀住宅設計塾 
著者:宮脇塾講師室編 出版社:彰国社 価格:1905

建築家の故宮脇氏が、大学で建築を教えていた時が有ります。その時に宮脇氏自信が直接選び出した「七人の侍」ならぬ「七人の講師」たち。その皆さんが執筆された、言ってみれば「宮脇塾」の教科書とも言える本です。

内容も「これから家を建てる方」にも「建築を仕事にしている専門家」にも、通用する素晴らしい内容。(下にご紹介している中村氏も、講師のお一人↓)

これから家を建てようとお考えの方は、下手の建築雑誌など読まずに、この本を10回読んだ方が、絶対役に立つと思います。(例外もあるでしょうが ^^;)

住宅の教科書として、私もこんな教科書で勉強したかったなぁ〜と思いました。



普段着の住宅術 
著者:中村 好文 出版社:王国社 価格:1800

住宅建築家として活躍中の、中村氏の建築論です。でも硬い本ではなく、どちらかと言うとエッセイ集と言った方が近いかもしれません。

なかでも『私家版住宅用語辞典』は、住宅の中の様々なパーツを、簡単明瞭に表現しているのですが、これがなんとも味があって良いです。

建築家と言う職業の人は、こんな事を考え、こんな道具で、あんな事やこんな事をしているのかと解っちゃいます。

宮脇さんの本や建築がお好きな人なら、きっと何処かに「同じ匂い」みたいな物を感じると思います。


どうか家を建てる前、いえ!誰と、どんなふうに建てようかと思い立つ前にお読みください。



住まいとほどよくつきあう 
著者:宮脇 檀 出版社:新潮文庫 価格:440

住宅建築家として活躍された宮脇さんのエッセイ集です。

私が面白いとご紹介する建築本は、一般的な
「建築のHOW TO本」ではありません。
この本も勿論そうです。「○×工法が最高ー!」とか「断熱方法はこれしかない!」みたいな本の類からは、大切な部分を感じる、あるいは知ることが出来ないと思っているからです。(勿論、そう言う本を否定はしませんが)


住み手が建築を考える時、もっと言えば「自分の家」を考える時に、一番大切なことは工法云々を考える事では無く、自分達がどう生活して行くのかを思い描く事だと思うからで、工法云々は、その後の話です。

この本は1985年に書かれた物に加筆訂正し、96年に出版されたものですが、今読んでも全く古さを感じませんし、大切な点も変わっていないと思います。「家」における大切な点とは、そう言う不変の場所にこそ有るのではないかと思います。

楽に読めて、シッカリと心に残る事が有る建築の本て、そうそう有るものでは無いと思いますよ。



家族を「する」家 
著者:藤原 智美 出版社:プレジデント社 価格:1500

前作「家を作るということ」に続く、作家でありライターでもある藤原氏の「家」をテーマに書かれたエッセイの第二段。

構成としては

・序章   失語の家
・第一章 女の家
・第二章 男の家
・第三章 子どもの家
・第四章 絆としての家
・第五章 夫婦としての家
・第六章 恋愛としての家

と言うふうに、それぞれのテーマで語られていて、とても読みやすく納得する点も多々有りました。


建築の専門家が、ここぞとばかりに難しい理屈を語っている本と違い、視点が普通の人と同じなのが解りやすくて良いです。その上で今の家の中に有るもの、無いもの、そして求められているけど手に入らないものなどを書いているのが、読んでいて共感できました。

ひょっとすると、私が書くエッセイと似ているのかもしれません。文章の構成や筆力と言う事ではなく、「家」とはどんな場所であって欲しいのか?そして現状は、どんな問題点を抱えているのかと言う事に着目しているからです。それは「家族とは何?」と言う基本的な事を、重要なテーマとして捉えているからかもしれません。

読んでいて、思わず「そうそう!」とか「これに関しては、こう思うけどなぁ〜」と対話する事しきり。

ハードとしての「家の事」を考えている方、あるいはソフトとしての「家族の事」を考えている方、どうぞ読んでみて下さい。私が本を人に薦めるのは珍しい事ですが、この本は読む価値があると思います。その上で「だから私はこう考える」と言う結論に達することができれば、あるいは疑問点を見つける事が出来れば、きっと予想もしていなかった家が出来るかもしれません。(ただし、そんな貴方の考え方を理解してくださる設計者との出会いは重要ですけどね)


お断りしておきますが「建築のHOW TO本」では有りませんので、書かれている事から何を掴み取るかは読み手次第だと思います。




父の椅子/男の椅子 
著者:宮脇 彩 出版社:PHP研究所 価格:1650円
建築家、故宮脇檀氏のお嬢さん、彩(さい)さんが書かれたエッセイです。
父との思い出の数々が、父が愛して止まなかった「世界中の名作椅子」の数々の紹介と織り交ぜながら書かれています。

それは自分が子供だった頃、まだ家族が4人で生活していた頃の楽しかった思い出から始まり、両親の離婚、一度は母の元に引き取られた彩さんが、一人父の家に転がり込み、二人で生活をする様子も・・・。そして檀氏に癌が発見され、入退院を繰り返す様子や、その臨終までを書いています。「親孝行の為に書かれた一冊」かもしれません。

上の紹介文だけを読むと、暗く切ない内容のようにも感じられますが、全然違います!私の感想は「檀氏にただただ、カックイイ〜〜〜」と尊敬の念を抱くばかりでした。建築家としてカックイイ〜のは然ることながら、父親が一人で娘を育てていく事がどんなに大変な事なのか想像も出来ないのに、それをカッコ良くサラ〜っとやっているように見せる事が、最高にカッコ良いです。

「男って、こんなふうに生きられたらカッコ良いだろうなぁ〜」と思わせるような生き方を、実践して居た事に改めてシビレました。

最近では、いろいろな「建築のHOW TO本」が売られていますが、そんな本を100冊読んでも、この本から学べる事の足元にも及ばないかもしれないと思わせる一冊。また、登場する椅子が良いんだなぁ〜〜〜(^^) 世界の名作椅子の数々も一緒に楽しめるなんて、なんてお得な本なんだろう(笑)

檀氏と彩さんの愛情の深さ、父親と娘って、こんなふうに愛せたら幸せかもしれないと感じさせる、私にとって上半期の中で「BEST 3」に入る本でした。




樹縛 
著者:永井するみ 出版社:新潮社 価格:743円
これは完全に「推理小説」なのでご紹介したものかどうか迷ったのですが、現代の「建築界」が抱えている多くの問題点に触れているので異質なのは承知の上でご紹介する事にしました。


「環境に優しい」と配慮された新築マンションで”杉の花粉症に似た症状が現れた”と住人から被害の声があがる。原因不明の状況に戸惑うマンション・メーカーと建材メーカーは、国産物の杉を使った床材を調べ始めるのだが・・・。同じ頃、秋田県の杉林の中から白骨化した男女の死体が発見された。12年前に行方不明になった新木場の材木問屋の男と、秋田県木材協会の理事の妻だった。

と言う書き出しで始まるのですが、推理小説としても面白かったです。また、背景になっている建設業界の問題点も、殆どが事実に近いと思いますので、手軽に「建設界の現状の一端」を覗くには良い本だと思います。

例えば「国内木」と「輸入木」つまり林業に関する事、室内環境汚染の事、マンション・メーカーの事、様々な事柄が盛り込まれており、一般の方々だけでなく「建設業界」に携わる方にも、読みやすい推理小説だと思います。「秋田杉」と言えば「欠陥住宅問題」の走りとなった「秋田杉の家」が思い出されるのも象徴的です。これを機会に、今一度「木」と言う物を見直す必要があるのかもしれません。


参考に著者自信の声で語る本の内容が、こちらでご覧頂けますので書き記します
http://www.shinchosha.co.jp/koe/html/4-10-602754-2.html




箱の家に住みたい 
著者:難波和彦 出版社:王国社 価格:1800円
建築家“難波和彦”氏が「住宅論」や「都市論」を語られた本です。

「箱の家」と名付けられた一連の住宅を題材に、家とは何か?住むとはどう言う事なのかを建築家の視点で書かれています。偶然にも私も同じような問題を悩んでいたため、非常に興味深かったです。難しい理論や理屈での説明ではなく、解りやすい言葉で書かれているので、これから家を建てようとお考えの方にも充分参考になると思います。

中でも私が印象深かったのは、個室化する住宅への考え方です。もともと、その環境や家族との関わり方が上手に出来ていない方が、いきなり「子供部屋を個室せずに、家族のコミュニケーションを図れるオープンな家を望んでも、結果的には上手くいかない」と言うもの。なるほどと、思わず納得してしまいました。今後の私の考え方にも充分に参考になりました。

最近読んだ本の中では、一番面白かったです。



 亀裂 阪神震災が暴いた建築の構造欠陥
著者:吉澤浩二 出版社:成星出版 価格:1800円
阪神・淡路震災が暴いた三宮に建つ「IBビル」の欠陥の数々。それも「清水建設」の設計・施工の仕事だった。次々に露呈する「質の低い施工」と「良識の無い対応」。さらには、行政までもがゼネコンとグルなのかと思わせる、目を覆いたくなるような無礼な対応の数々。

う〜ん、震災ではなく人災と呼べる被害が、数多くあったのかもしれないと感じさせる1冊。大手だから安心などとは、口が裂けても言えない事を再認識した本です。

同時に、第三者による「公平で適正、かつ良識ある監理者」の絶対的な必要性を強く感じさせられた本でした。正直に言えば、この類の本は読みたくないです。つまり、「正しき建物」のあるべき姿を望むと言う事。



骨董市で家を買う ハットリ邸古民家新築プロジェクト
著者:服部真澄 出版社:中央公論社 価格:1400円
アンティークが好きで、骨董市が大好きで、ついには骨董市で見つけた「古民家」を東京に移築して家を建てる「服部夫妻」の珍騒動記です。とっても笑えたし、家とは何か?あるいは今の「住宅」のサイクル・コストまで考えさせられました。完成した服部邸の写真は、とても素敵で温かみの有る家でした。

読み終えると、なんだか少しだけホッとする優しさと、落ち着きを感じさせてくれる1冊でした。ひょっとすると、家を建てようとする人には、忘れられている「ヒント」のような物が、書かれているかもしれません。



インターネットで家が建った
著者:大戸浩・来馬輝順・篠原啓史 出版社:光芒社 価格:2000円
コラム(49話)で書きました、インターネットを活用した家造りに関して書かれた本です。大戸氏をはじめ計3社の設計事務所が、ホームページを通して知り合った方と、家を造った状況が書かれています。利点や今後の問題点などを、実例を挙げながら書いてあるので、読んでみる価値はあると思います。ただ、この本は「家を造る為のパートナー探し」の一例であり、「家とは何か?」を考える本では有りませんので、その点はご注意下さい。



いい家の本
著者:宮脇 壇 出版社:PHP研究所 価格:1300円
宮脇氏は、その生涯を「住宅設計」一筋に捧げられた、素晴らしい建築家でした。その氏が「家とは何か?」を判りやすく、あるいは問いかけながら書かれているのがこの一冊です。目次だけを見ても、その内容が判って頂けるかもしれませんので、一部を参考に書き記します。

序章 家は何のために
T章 不可思議な部屋たち −実感が欠落した部屋 
U章 男と女が住む家は −男が放棄した“女の家”
V章 街に住もう −なぜ私たちは郊外に住んでいるのか

と言った内容で続きます。宮脇氏は高名な建築家の中でも、とても判りやすい言葉で語り掛ける、数少ない建築家でした。私の考え方に、大きく影響を与えた方の一冊です。



笑う住宅
著者:石山 修武 出版社:筑摩書房 価格:1300円
少し前の本ですが、建築界の「奇才」石山氏の本です。この方も住宅に関しては、かなり突飛な発想を発揮した(現在も活動中ですが)建築家です。目次の大項目は以下の通りです。

■熱い住宅へ
■さらばショートケーキ住宅
■ホームキラーを待ちながら
■私の住宅原論

と、その目次を見ただけでも、かなりハッキリと「間違えた固定観念」に対して、厳しいアンチテーゼをされている事が伺えます。参考になると思いますが、チョット辛口ですよ(笑)



棟梁が語る家造り
著者:吉田 正毅 出版社:連合出版 価格:1500円
これも少し古い本です。典型的な頑固な職人として、木造在来工法一筋に、仕事をしてきた棟梁、吉田氏の目から見た「家造り」の本です。これは、素人の方ばかりではなく、まだまだ学校を出たばかりのような方が読んでも、充分に役に立つ本です。以下に目次抜粋。

■建築現場にて
■家を建てる前に
■構造材と墨付け、棟上げ
■家を建てようとする人へ

と言う内容で、我々設計者とは違う視点で「家」を捉えています。家の写真集等を見るより、よっぽど役に立ちます。ただ、チョット教科書みたいで・・・寝ながら読むのは、お勧めしませんが(笑)



庭先の楽園
著者:星野 厚雄 発行:建築資料研究社 価格:2700円
独楽蔵(こまぐら)と言う設計事務所を主宰をされている星野氏の、チョット変わった写真集。あるいは「大人の絵本集」と言った感じです。大らかなイラストの中に、しっかりとした考え方が盛り込まれていて、「家って楽しいもんだなぁ」と感じさせてくれます。「家造り」に直結する本では有りませんが、なんだか和ませてくれる一冊です。私の好きな「建築の本」です。



子供とあそび 環境建築家の眼
著者:仙田 満 発行:岩波書房 価格:550円
建築家の仙田氏が、子供の事を書いています。地域や自然。そして、家と子供がどんな関係にあるのか。子供は家から何を学び、何を学ばないのかと言った内容で、私も勉強になった一冊です。
家造りのプロである建築家の眼を通してみると、子供にとっての家とは、「こうあって欲しい」と願うような内容の本です。ただ、比率としては住宅の事よりも、地域や公園と言った「周辺環境」に対する話しが中心です。

これからも少しずつご紹介して行きます。