Essay 19 欠陥マンションの悲劇

最近、とても残念なことなのですが「欠陥住宅」の話題を耳にすることが多く、嘆かわしく思っています。その現状はあまりにも悲惨で、思わず目を覆いたくなるような状況・・・被害者の方には心から、お悔やみを申し上げたいです。

ところが「欠陥住宅」よりも、さらに悲惨なのが「欠陥マンション」。
この「欠陥マンション」、なぜ悲惨かと言うと、それは共同住宅と言う「集まって住む」と言う形態に、問題が有るのだと思います。

例えば、30所帯のマンションのうち1所帯だけに、何らかの欠陥が有ったとしましょう。あなたならどうしますか? まず最初に、ご近所に同じような問題が無いか、確かめたりするでしょう?その次に、管理会社に連絡することになると思うのです。問題個所の内容にも拠りますが、当然補修や対処を求めますよね?ところが、管理会社は欠陥の有無よりも、まず出費したくないのが本音です。だから、責任の有無を確かめるよりも先に、「ええ~お宅だけですよ~。欠陥じゃなくて、お宅の使い方に問題があるのでは?」と言うことになりがちなのです。

まして、周りの29所帯に同一の問題が無ければ「欠陥とは違うのかしら?」と、丸め込まれるのが落ち。 よしんば「やっぱり欠陥だわ!」と立ち上がろうものなら、ご近所から「袋叩き」に合うのは必死ですよ。

なぜって、そりゃあ~そうでしょう!もし「欠陥マンション」だと、公に認められてしまったら、マンション全体の資産価値が下がると思うのが人情。住み替えの為に、売ろうとしても「売買契約書」の中に「欠陥あり」と書かれたら、売りにくいでしょ?

だから「私の家は問題無い!」と思っている人が、全て敵になってしまう・・・。
これは、もうやっていられない・・・。「昨日の友が今日は全員敵」状態。


マンション会社の方だって、1/30を相手にするのだから、赤子の手を捻るようなもの。「そんな事 言ったってお宅だけですよ~」なんて、平気な顔で言い出しかねない始末。

これは、悲惨ですよ~。下手をすると、マンション中から総スカンを食い「村八分」状態になってしまいかねない。そんな状況の中で、裁判沙汰にでもなろうもんなら、命がけは覚悟しなくちゃならない!


なぜって、日本の裁判が異常に時間が掛かることは、ご存知でしょう?
まして「欠陥マンション問題」など、少し前までは未知の領域だったところに、公平な判断を下さなければならないのですから、弁護士も裁判官もチンプンカンプン(いまどき言わないって・・・)
「さぁ~困った!一体誰に聞けば良いのかが判らない」のが本音でしょう。


欠陥の有無を判断する「公平な立場の専門家」を見つけることすら至難の技。だから、長い裁判が余計に長くなる。 その長~い、長~い時間を、問題を抱えたマンションのローンを払い続け、ご近所からは敵のように白い目で見られ、裁判費用を捻出しながら、日々戦い続けなければならない・・・・・・。並大抵の精神力じゃ、やっていけないと言うもの・・・。

それでも裁判に勝てれば良いですが、敗訴でもしようものなら、もう居場所が無い!

「なんで、こんなことになっちゃうの???」
 無け無しの虎の子叩いて、やっと手に入れた念願のマンション。「あたしゃ~何も悪いことはしてないよ~」と、ぼやかない方が嘘と言うもの・・・。

マンションを買う時には、「大手だから安心ね~」なんて言ってたのが、裁判の相手になった途端、相手のでかさが仇になる・・・。出るのはお金と溜息ばかり・・・・・。

それじゃあ、一体どうすりゃ良いのでしょう???本当は、私にも良くわからないのが正直なところ・・・。 だって「マンション買うな!」とは言えないし、「大手の会社を選びましょう!」とは、口が裂けても言えません。

もし貴方が、これから買おうとしているのなら、自分たちだけで選ぶのではなく、貴方の信頼できる「マンションの設計や工事に詳しい人」をオブザーバーに選びましょう。


一緒に見に行ってもらったり、仕様書や設計図まで見てもらえると、良いですねぇ。言っておきますけど、素人が設計図や施工図を見ても判らないと思いますよ。
私の拙い経験から申し上げれば、まず設計者が設計図を書く。その設計図を元に、施工者が施工図なるものを書いて工事に掛かるのです。当然、施工図は監理をしている設計者がチェックしなければ使えないと言うのが本来のシステムですが、中には施工図など書かない業者さえいる始末・・・・・。これ問題外。

書いている施工者だってプロですが、間違えることもある。だから、監理者が再チェックする訳なのですが、これさえも「設計監理者と施工者」が系列会社だったりする場合は、あてにならない。そんな図面を素人が見たって「???」と首を傾げるだけ。ひょっとすると、相手に付け入る隙を与えかねない。だから、プロのアドバイザーが必要なのです。

それに、図面を見ただけで「騒音・振動・材質や配管の位置」なんて細かいことまで判る分けないでしょ?それが判るんなら「あんたはプロだ!」
昨日今日、学校を出てきた程度の知識では到底無理!

そりゃあ~「アドバイス」を頼めば、最低限の日当ぐらいは必要でしょうけど、それでも安心料としたら安いもんでしょ?(もっとも、私ならバーボン2本で手を打っても良いですが・・・)


もし、貴方が今現在「欠陥マンション」の問題に悩んでいるとしたら、そうですねぇ~やっぱり専門家を仲間にすることですねぇ。それから、同じように悩んでいらっしゃる方たちとの、横の連絡を取ることをお勧めします。それから「おかしいなぁ?」と思ったら、細かく状況を記録に取ることです。写真やラジカセ等をフルに活用し、細かく記録して下さい。後できっと、役に立ちますから。勿論、マンション会社との話なども記録しておく方が良いでしょう。今、私が言えるのは、この程度ですねぇ。

こんなサイトがあるので、参考までに載せておきますので覗いてください。(リンクもしてますので)

『三井の欠陥マンションで困っています』
Http://Www.Geocities.Co.Jp/SweetHome/7505/
(2000.3.17 朝日新聞朝刊 「くらし消費」の欄に特集されています)

私が書いたことなどは、このサイトの管理人さんのご苦労からすれば、ほんの一部分です。「欠陥マンション問題」は「欠陥住宅」より始末が悪いのです。

短いコラムの中でお話するには、ちょっと内容が難しすぎましたねぇ・・・。尻切れトンボ状態で申し訳無い・・・。せめて「欠陥マンション問題」の現状を、ご紹介したサイトで認識して下さい。それが、きっと役に立つと思いますし、現実にその渦中にいられる方々の、励ましにもなると思います。

欠陥の有る建物に関しては、また折に触れゆっくり書きたいと思います。
欠陥住宅・欠陥マンションの問題を抱えていらっしゃる多くの方々の、一日も早い問題の解決と、少しでも早く平穏な日々を取り戻されることを祈りつつ・・・・・・・。

にほんブログ村 住まいブログ 住宅設計・住宅建築家へ

ブログランキングに参加しています。
宜しければ応援の一押しを、宜しくお願い致します。

コメントする

< Essay 18 子供部屋の有り方  |   一覧へ戻る   |  Essay 20 探偵の事件簿 1 >

最近の画像

お問い合わせ

  • お問い合わせフォーム
  • 0465-35-1464

このページのトップへ