Essay 67 ベイクアウト

さてさて、宿題の続きです。その前に、もう一度症状を確認してみましょう。


・人生が暗く感じる
・活動意欲がわかない
・ヒステリー的な行動を起こす
・攻撃的な性格になる
・悲しみや小恐怖感が強くなる
・発想が病的になり自殺願望がわいてくる
・気長に陽気だった人が、陰気で短期に変わる
・集中力がなくなった
・物忘れが多くなった
・心配性になったような気がする
・汗をかきやすくなった
・悪い夢ばかりを見て、うなされるようになった
・情緒不安定気味になっている
・思考力が低下する
・意志が弱くなり、判断力が低下する
・関節炎、リューマチなどの症状が現れた


と、まぁこんな感じなのですが思い当たる症状や、気になる点はありませんか?
さて、これは何の症状でしょうか?私のエッセイで書いているのですから、更年期障害の話ではありませんよ。 これはズバリ!シックハウス症が原因で引き起こされる症状なのです。この他にも、流産、奇形児、ガン、精子の減少、不妊症などもあります。


「家の中の化学物質で?」と驚かれる方もいらっしゃると思いますが、症状はまだまだ外にもたくさんあります。化学物質を長期にわたり、吸収し続けると、喘息、花粉症、口内炎、白髪、抜け毛、慢性疲労、自律神経失調症、視力の低下、冷え性、食欲不振、鬱病等々、例を挙げればキリがありません。


私たちの周りには、数え切れないほどの有害物質が氾濫しているのです。トルエン、ベンゼン、キシレンやクロロホルム、トリクロロエタンと言った聞いたこともないような物質が、私たちの周りを囲んでいるのです。


シックハウス症の代名詞とも言われる「ホルムアルデヒド」なら聞いたことがあるでしょう。壁紙や合板に使われている接着剤に含まれている物質です。実はこの物質は、多くの人が一度ぐらいは目にしたことがあるのです。ほら~、子供の頃に「理科室」で見た「ホルマリン漬けの標本」があったでしょ~?あのホルマリン液と言うのが、ホルムアルデヒドの水溶液なんですよ。あれは劇毒物で、その毒性の強さを利用して標本を腐らないようにしていたのです。つまり、私たちの家は「あの標本と同じなんですよ・・・」驚きました?


こう言った化学物質は、経済的な繁栄を推進するために切り捨てられてきた「天然素材」の呪いのようなものです。(ちょっと、リングの世界だ~~~怖い・・・)


今では少なくなってきた「畳」だって、主流として使われているのは「スタイロ畳」と呼ばれる製品です。これは、畳床に、スタイロフォームと呼ばれる発泡性のポリエスチレンフォームなどを使った商品なのですが、この畳に使われている「有機リン系」の化学物質は、田んぼに散布される農薬の20倍から30倍の強さもあるんです。だから、虫が付かないのですが・・・・・・・・・・あなた、これを読んだ後でも、その畳の上で横になる勇気がありますか?


現状の問題点ばかりあげても、キリがありませんし、とてもこんなエッセイ程度で書ききれるわけもありません。そこで、その対処法を簡単なものだけ、ご説明いたしますね。対処法は大きく分けて4つあります。


【 その1 】
使わない。ちょっとずるい答えですが、単純な話使わないことが一番単純な解決法です。ただし、現在の状況ですべてを天然素材だけで造る家というのは、とんでもなく高額な商品になることだけは事実です。


【 その2 】
食生活を改善する。これ一見関係なさそうなのですが、実は大あり。その理由は、次と大いに関係があるのです。


【 その3 】
化学物質に負けない体を作る。化学物質と人の体の関係は、水とコップの関係のようなものだと思います。コップに水を静かに入れる・・・ゆっくりと静かに・・・だんだんコップを満たす水はその表面から盛り上がりながらも、こぼれまいと頑張ります。これ所謂、表面張力ってやつです。ところが、この表面張力にも限界があり、ついに水はあふれ始める。単純に、コップが大きければ水がたくさん入ってもこぼれないですよね?人の体も同じです。化学物質が100しか貯められない体よりも、1000溜められる体のほうが、その影響を受け難いのです。だから、正しい食事と適度な運動で丈夫な体を作るのも、一つの方法というわけ。(ちょっと反則っぽいけど・・・)じゃあ、最後に取っておきを、ご紹介します。


【 その4 】
換気。「なにそれ?」って、不満気な顔をしたあなた!ちょっと待って下さい。最後までよく聞いてくださいね。新築後に建物の換気をまめにすることが、とても大切なことは皆さんも承知していると思います。では、「ベイクアウト」と言う言葉はご存知ですか?ほら~知らないでしょ~?ワッハッハ!私の勝ちねぇ
えっ!知ってたの?なぁ~んだ。


じゃあ、ご存知ない方の為に説明すると、ベイクアウトとは工事中に行う「化学物質」対策なのです。建設会社の人でも、知らない人も多いかもしれません。ひょっとすると、皆さんのような「エンド・ユーザー」の方のほうがご存知かもしれませんね。


このベイクアウトとは、熱で化学物質を気化させ飛ばしてしまうと言うものです。建材に使われている化学物質は、常温だとジワジワと空気中に染み出してきます。だから、長い年月少しずつ、その物質に犯され続けることになるのです。「じゃあ、高温にさらして一辺に気化させてしまおう!」と言う考え方なのです。方法は簡単。


まず建物を完成させます。勿論、壁紙もペンキも、塗り終わらせてください。電気の照明器具も便器も取り付けてください。まさに完成している状況です。この状況で、建物を密閉し大型のヒーターで建物の中を一度に、高温にするのです。とは言っても火事にしてはいけませんよ(笑)室温は大体、36~40度程度の室温で大丈夫だと思います。扇風機で空気をかき回し、部屋全体を均一に暖めるようにして下さい。そして部屋全体が充分に暖まったら、一気に開放し部屋全体の毒素を吐き出すようにして下さい。これだけで、建物全体の7割から8割が飛ぶと言われています。これは国立衛生研究所も推奨する方法なんです。


もっともホルムアルデヒドは、タンスや机と言った家具にも使われているので、普段の換気も大切だと言うことはお忘れなく。

それにしても、最近の家造りは大変ですよね。
 

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