Essay 72 顔が命

と言っても、人形の話ではありません。

私・・・人間は外見だと思っています。 唐突で驚かれるかもしれませんが、「やっぱり、男は中身よね~」なんて言っている女性だって、初対面の男性が見るからに不潔で、爪の中が真っ黒だったり、髪がふけだらけだったら、やっぱり好印象は抱かないと思うのです。


また、初対面の相手に無遠慮な態度で接したり、見下したような態度で話す相手に対して、決して良い印象を持つとは思えません。つまり私の言っている「外見」とは、容姿のことでは無く、全体から滲み出る雰囲気、「第一印象」のことを言ってるのです。


優しい人は、どこか優しい雰囲気を醸しだし、腹の中で良からぬことを考えている人は、どこか下卑た顔をしているものです。つまり体から滲み出るオーラと言うか、その人だけの独特の気配なのでしょうか?私も人間を40年もやっていると、何となく感じてしまうのです。


ところが、これは人に限ったことではありません。「家」にも同じことを、感じる瞬間があるのです。
建物には住む人の個性が表れると言いますが、それは「建物の顔」である玄関に一番現れるような気がします。靴が散らかっていると言ったようなことではありません。何と言うのかなぁ~、言葉で上手く言い表せない、雰囲気みたいな物のことなんです。


例えば建物は非常にセンス良く、洋風な外観に仕上げられているのにも関わらず、木彫りの表札が違和感丸出しで掲げてあったりする家があります。「これって、一体なんだろう?」と思うのです。統一感が無く家人の好みが、全くチグハグだったりすると、ちょっと首を捻ってしまいます。


まるで豪華なシャンデリアが掛けられた客間に、5円玉で作られた「五重塔」の飾り物があるような、そんな違和感のことです。


せっかく綺麗に建てた家ならば、玄関や玄関周りもスッキリと納めればいいのに。住宅の玄関には、いろいろな物が取り付けられています。表札やインターホン、郵便ポストや電気・ガスのメーター類と言った、雑多な物が集まっているのが玄関です。これを出来る限り、スッキリとまとめてあげるのも、家人のセンスかもしれません。(当然、設計者のセンスでもありますけどね)


玄関の内部だって、ただ下駄箱を置けば良いと言う物でもありません。家族が4人もいれば、その靴の量だって相当なはず。その大小の靴を理路整然と、収納できるスペースを考えるべきでしょう。その他にも、傘やコート、ひょっとしたら野球のグローブやバット、サッカーボールだって置いてあるかもしれません。ならば、それをキチンと片づけられる計画が必要だと思いませんか?
もっとも、私もブーツが流行ると、ちょっと頭が痛いですが。


家の中の収納で一番疎かにされているのは、ひょっとすると玄関の収納なのかもしれませんね。だからと言って「じゃあ玄関脇に納戸を設けて」と考えるのは止めましょう。そう言う「理屈」の話をしているのではありませんから。


例えば彼氏が、初めて彼女の実家に訪ねて行くとしましょう。玄関前に車を停めると、胸の鼓動はピークに!ところが玄関を開けた瞬間に、靴は散乱するは、明日出す生ゴミは置いてあるは、傘やスリッパが散乱しているのを見た瞬間、なんとなく「なぁ~んだ!」と拍子抜けするかもしれません。思わず奥から出てきたお母さんに「チワ~ス!」と言ってしまいそうじゃないですか?


勿論、その反対もあるでしょう。玄関の扉を開けた瞬間に「ムムッ!、この家は出来る!」みたいな雰囲気を感じ、余計に背筋をピンと伸ばしたりして。


玄関を開けただけで、その家の雰囲気や・・・空気みたいな物を感じたことがありませんか?暖かい雰囲気や、寒々しい感じ。それが「貴方の家」を訪れた人に与える、第一印象なのだと思います。そして第一印象って、意外に当たっちゃうんですよね~。それって大切だと思いませんか?


もし今、家の新築をお考えになっている方が、これをお読みになったのだとしたら、どうぞ「貴方の家の雰囲気を、唯一外部と繋ぐ場所」だと言うことも、考慮に入れてみてくださいね。貴方の家に遊びに来ることを、楽しみにするお友達が増えるかもしれませんからね!
 

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