Essay 85 子供部屋のあり方(2)

先週(12/7)何気なく見ていたら、「MSNトピックス」と言うコーナーに「子供部屋が引きこもりや少年犯罪の温床に?」と言うコラムを見つけました。


その、一部を抜粋してみましょう。
建築家・横山彰人氏は、「狂気を呼ぶ間取り」というコラムで、人と住まいの関係という観点から最近の凶悪犯罪の増加について分析しています。なかでも注目すべき指摘は、戦後日本では部屋数ばかり重視して家族の触れ合いがない「異質な住まい空間」が増えているというもの。たとえば、玄関から入るとすぐ階段があり、誰と顔を合わせなくても2階に直行できるような間取りの場合、子供部屋という「密室」で何が起きているのか、親がまったく把握していないケースがめずらしくありません。


と言った内容です。これと同じような内容の話しは、私のエッセイの中にも書きました。
(エッセイ18 子供部屋のあり方


これは日頃「家と家族のあり方」を、チャンと考えている建築家ならば、誰でもが感じていることなのでしょう。私たちは欧米文化に憧れ、その服装や生活スタイルを模倣し続けてきました。その結果「家のあり方」まで、子供に個室を与える欧米文化が正しいと言う錯覚に陥り、「個の尊重」と言う大義名分の元に、自分たちの子供時代に経験した物を排除することが、親の勤めであるかのように勘違いを、し始めたのです。


私は、子供が「性」を意識する年頃になっても、「個室は必要ない」とは考えていません。今の時代、どんなところからでも「性」に関する情報は入ってきます。また、体が成熟するのも、一昔前から考えれば、どんどんその年齢は低くなっていることも事実です。つまり「心も体」も、親が過ごした時代とは「違う速度」で成長していると言うことなのです。当然、その時期には、親や兄弟にも触れられたくない「性」への興味や関心を持つことでしょう。その時期まで、「プライバシー」が必要ないとは考えていないと言うことです。


これを読まれている親の方は、ひょっとすると「なるほど・・・。」と納得されるかもしれません。もし、納得される方がいるのならば、その方こそ「日本と欧米文化の違い」を改めて、考えて欲しいと思います。


欧米の場合、「性」に関する話しは親子間においては、かなりオープンにされます。日本の高校生に当たる年代には、欧米の子供たちはボーイフレンドと外泊したり、外泊した夜のことを親に話したりする”フランク”さと、”信頼関係”が出来ているのです。日本で、そのようなことが許される家庭は、皆無と言っても過言ではないでしょう。


それなのに個室環境を与えることだけを真似し、親子の信頼関係を築くことを真似せずにいるのは、まさに「本末転倒」と言わざるを得ません。

また「Msnのエッセイ」の中に、こんな内容も書かれていました。
建築技術者の集団が運営しているサイトより。顧客と間取りの打ち合わせをしている際、子供部屋は日当たりのよい南側にと注文されるケースがあるが、最近の少年犯罪等のニュースに接すると、子供にとって居心地よくこもる部屋を作るより、家族が自然にコミュニケーションが取れるようにする方が大事ではないか感じると述べている。

こんなことは当たり前の話しで、今更大上段に構えて話すような内容とも思えませんが、そんな基本的なことさえ忘れ、親の見栄や、近所への体裁だけで「子供部屋のあり方」を誤解したまま「家造り」を考えている方が、殆どなのも事実です。


もう一度だけ考えてみませんか?親と子が楽しく暮らせる家とは「貴方自身と貴方の家族の場合」は、一体どんな家ならば良いのかを。そして、それを本当に考え提言してくれるのは誰かと言うことを。
最後にもう一つだけ抜粋記事を掲載して、今回のエッセイの結びとします。


JKK住環境研究会によるすまいへの提言。住宅を設計するときに、さほど理由を十分に考えることなく、子供のプライバシーを前提に子供の数だけ部屋が必要で、広さは6畳以上と希望する親は多い。しかしながら親や兄弟に知られたくないようなプライバシーは必要とは言えない。性的な興味や一人で思い悩むことなどが出てくるとそれも必要となってくるが、カギのかかる完全に独立したプライバシーのための部屋はいらない。親や兄弟と全く違う価値観が自覚できるだけ成長したときに子供の取るべき道は、親の力で子供部屋を確保してもらうのではなく、親の家を出て自立することであろう。


貴方はお子さんに、どんな「人間」になって欲しいと思っているのですか?

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