Essay 131 事務所を訪ねる変わった人々

「もしもし、お嬢さん ハンカチが落ちましたよ」
「えっ?でもそれ・・・私のじゃ有りませんよ?」
「ええ判ってます。私のですから。ただ貴方に話し掛けるキッカケが欲しかっただけです」


な~んて男女の出会いは、一昔前の話ですが設計事務所と言う仕事にも、いろんな出会いが有ります。今回は、そんな出会いの中でも、私が経験した「変わった人たち?」との出会いをご紹介しましょう。


【変わった人たち ケースその1】
「もしもし、設計事務所さんですか?家も建ててくれるんですか?」
と言う、唐突な電話を頂いたことが有ります。なんでも電話帳で「変わった事務所名」の所だけをピックアップして、電話をしまくっているご様子。
「家を建てるのではなく、家の設計をします。ご希望があれば工事する施工者もご紹介しますが?」
「じゃあ、家は建てられないのですね?大工さんじゃないんですね?ガチャ!プープープー」
これ実話です。


【変わった人たち ケースその2】
「もしもし、そちらは家の設計も、して貰えるのですか?」
と言う、これまた電話を頂きました。やっぱり電話帳で調べて頂いたご様子で、こちらの素性もサッパリ判らないと仰るので、小一時間ほど電話でのやり取りの後に・・・
「また電話するかもしれません。ガチャ!プープー」
またかい?と、お思いでしょうが、こんな事には正直慣れてます。


2週間後のある夕方・・・
「もしもし、先日電話した者ですが、あれから幾つかの事務所に電話したのですが、チャンと話を聞いてくださったのが、そちらだけだったので、また電話しました」(なんとなく判る気が)
と言う事で、今度は家の事に関する質問が小一時間。ようやく何かに踏ん切りがついたのか、
「じゃあ、来週の週末にでもお伺いします」
「承知しました。もし、何かの急用でご連絡をする際の連絡先を教えて頂けますか?」
「えっ?電話番号を言うんですか?それはチョッと・・・・・」
結局、教えて頂けず仕舞い。こうなったら親が死んでも出かける訳にもいかない状態に・・・。


約束の当日に親が死ぬ事も無く、無事お会いする事が出来ました。3時間近く、あれこれお話をして
「じゃあ、この後に他の事務所にも行きますので、これで」と言う、まるで捨て台詞のような、閉めの言葉で打ち合わせ終了~。


私の場合、性格的に多少でも「袖刷り合わせた方」のことが、ズッと気になってしまいます。仕事の依頼が有る無いは、お互いの相性やフィーリングも有りますから、ご縁が無くても仕方が無いと思います。他の方と上手く家を造られているのが判れば安心するのですが、そうでないと事有るごとに、気にしちゃうんですよね~。ですから、お願いするんです。


「もし他の事務所でお仕事をされる事になった時には、その旨ご連絡いただけませんか?」
その方たちは不承不承も承知して下さり、お帰りになられました。それから2年の月日が流れますが、未だにご連絡はありません。


【変わった人たち ケースその3】
「ホームページを見ました!お伺いして、お話を聞きたいのですが?」と言う事で、メールを頂く事も有ります。私も「HPを見て頂いているのなら、話も早いかな?」な~んて思ったのですが、現実はなかなか大変ですよね~。
お約束当日、予定通りにご夫婦でいらして話し始めたのですが・・・
「改めて自己紹介いたします。どうぞ宜しく」
「あの・・・今日は匿名でお願いします」
「はっ?」
「名前は言いたくないんですが・・・じゃあ、仮に山田としておいて下さい。」
「仮に山田さんですか?」

気を取り直して
「メールでは詳しい事をお尋ねしませんでしたが、建設予定地はお近くですか?」
「あのぉ・・・それも匿住所でお願いします」
(プチッ・・・・・アンタラ、深夜のラジオ番組にリクエスト出してるのか?)


それでも3時間半程、いろいろな事をご説明しましたよ。ええ~にっこり微笑みながら、仮りの名を『山田さん』と仰る方を相手に・・・・・こめかみをヒクヒクさせてながら。結局この方たちとは、それっきり音信普通です。あっ!一度だけメールで「その後、お家の件は如何ですか?お困りのことが有ったら、お問い合わせくださいね」と書いた事が有るのですが、レスも返ってきませんでした。


ここまで失礼な方も珍しいですが実話です。
設計事務所って、一体どんなイメージなのでしょうねぇ?それとも私の対応に問題が有るのか悩んじゃいます。本当に『匿名・匿住所』で対応しようとするのならば、せめて来る前に「仮の名前」ぐらい考えといてくれないかなぁ~。こちらだって客商売だと思うから、一応は笑いながら話してますが、腹の中は煮え繰り返ってることだって有るんですから。


設計事務所と言う所は「鬼の住処」じゃ有りません。名前を言おうが住所を聞こうが、どこぞの住宅メーカーのように夜討ち・朝駆けで営業したりする事はありませんから。


せめて、このエッセイを読んで下さってる皆さん、あるいは皆さんのお知り合いの方だけは、こんな態度で望まれない事を切に望んでやまない次第です、はい。チョッと愚痴に成ってしまってスイマセンでした。
ではまた。
 

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