読んだ本 1冊

家守綺譚
家守綺譚
梨木 香歩

■梨木香歩著 『家守綺譚』読了 <今年13冊目>

大学の学友・高堂は、湖にボートを漕ぎ出したきり、戻って来る事は無かった。売れない小説家の綿貫は、高堂の父に空き家となってしまう家を家守して欲しいと頼まれる。大きな池があり、たくさんの樹木が生えている立派な庭を持つ家を、家守しながら小説を書く綿貫の生活が始まる。ある雨の夜、床の間の掛け軸の中から、湖で行方知れずとなった筈の高堂が現われた―。

「柔らかい」、それが読後の感想。
とにかく梨木ワールド炸裂で、「大人の童話」と言う印象を受ける。ただし泉鏡花や坪内逍遥の匂いが、作品全体に滲んでいるような気がするのは確かだが、それは心地良い滲み方だと言える。

目次を開くだけで、全体の雰囲気を察することが出来る。センテンスの見出しが、全て庭に生えている樹木の名前である所からも分かるように、それら全ての物が生きており(文字通りの意味で)、それら全てに命があることが風のように吹き抜けている。

『からくりからくさ』や『りかさん』に通じる点も数多く、梨木さん好きには勿論だが、優しい気分になりたい人にもお薦めの一冊。たぶん、中学生ぐらいなら、充分楽しめると思う。この本を読んで、ここから泉鏡花や鷗外・坪内逍遥へと、戻って行くことも「あり」だと思う。

と言う事で、次に読む本は建築家であると同時に、詩人としても有名な立原道造の『天才・立原道造の建築世界』に突入。好きな建築家なので、楽しみなのです。

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