建築基準法よ何処へ行く

一連の耐震偽装の余波を受け、建築士法や建築基準法が改正される。
今までは「性善説」に立って作られていた基準法だが、これからは「性悪説」のスタンスに立った内容に変更されることになる。つまり「建築士は偽装する」と言う前提。

どんな視点で法律が改正されても、結果的にクライアントに利点が増えれば、それも有りだと思う。が、それは悪徳建築士やインチキゼネコン、そしてイカサマ不動産屋にとっての戒めとしては有効だが、真面目にやっている人達にとっては、死活問題にもなりかねない。

例えば、確認申請業務。
今までは最長で21日間で審査していた建物が、法改正以後は最長70日まで伸びる。
また一定規模以上の建物に関しては、今までの確認検査機関の審査以外(行政庁の審査も含めて)に、構造計算専門の機関での審査も受けることになる。当然、建築主が負担する確認申請費用だって増えることだろう。

また確認申請を行っている最中に、図面や計算書を差し替えることは不可となり、その場合は確認申請行為自体を、最初から出し直さなければならない。

例えば図面の中で、建物の床面積を計算間違えしていた場合、今までは訂正すれば済んだことが、これからは確認を一度取りやめ、新しく出し直さなければならないと言う事。

一般の人にしてみれば、「そんなの当たり前のことでは?」と思うかもしれないが、所詮人間がやっていることだから、大なり小なり書き間違えや記入漏れと言うのはある。

例えばブログやメールを書く時に、誤字や脱字があるでしょ?その程度の間違いは誰にでもあるってこと。問題は、そんな程度の間違いを規制することではなく、意図的に悪意を持って、私利私欲を貪ろうとする輩を規制することの筈では?
なんだか違う方向に進んでいるような気がするのは、私だけかな?

ちなみに、こんな内容の法改正が施行されれば、当然だが設計監理料に跳ね返る可能性だって出てくる。つまり建築主にとっても、負担が増えると言う事。
また確認申請の期間も伸びるので、当然ながら着工までの時期は延びる。
それから、所謂「代願申請業務」と言うのは、背負わされる責任と作業ばかりが増えるが、それに見合うほどの報酬のアップは期待できないと思う。つまり代願専門で仕事をしていている設計事務所にとっては、まさに「命を削る業務」になるかもしれない。

改正される基準法が施行されるのは、6月20日。
どんな混乱が待っているのか、考えただけでも恐ろしい。
以上「日経アーキテクチャアー」を、読んでの雑感。

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『建築』information - http://freshsh.com/8C9A927A8E6D9640/ (2007年10月25日 10:53)

建築士法建築士法(けんちくしほう、1950年|昭和25年5月24日法律第202号)とは、建築物の設計、工事監理等を行う技術者の資格を定めて、その業務の適正をはかり、もつて建築物の質の向上に寄与させることを目的とする法律である。.wikilis{font-size:10px;color:#666666 続きを読む

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