長い夜


さっきまで普通にしていたインコが、急に手のひらの上で、まるで腰を抜かしたようにへたり込んだ。そしてそのまま目をつぶる。他所のインコなら普通の行動でも、うちのインコは、こんなことをしたことがない。大好きな私にでさえ、頭を撫ぜさせたり、掌の中に捕まえさせたりはしない。人に触られたり撫ぜられたりすることが大嫌いな、孤高のインコなのだ。そのインコが掌の中でしゃがみ込み、頭に触れようと、背中を擦ろうとピクリともしない。これはただごとではない。

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だが悲しいかな、喋ることの出来ないインコの体調を的確に判断することもできず、なすすべもなく、ただ掌でその体を包んであげるだけ。そして時折目を開いたときに、「大丈夫か」と声を掛けるだけ。翼は力を持たずにダランと下げ、心なしか体温も下がってきたように感じる。掛かりつけの病院に連れて行くかどうかを悩むが、日曜の夜に診てくれはしないだろう。

結局、ただ掌に包んで暖めているだけしかできない。その力なく眠る姿を見ながら、四年前の夏に、初めて家に来た時のことを思い出す。生後間もなくの小鳥で、自分でえさを食べることも出来なかった。だから粟を水でふかした物を摺り潰し、それをスプーンで少しずつ食べさせた。四時間おきに食べさせる食事は、まるで人間の赤ん坊にミルクを飲ませているのと同じだった。

成長して自由に飛びすぎるので羽を切ったら、飛べないどころか、歩くこともままならなくなってしまった事もある。慌てて病院へ連れて行ったら、先生に「羽を切られたストレスでしょう」と言われ、ホッとするやら呆れるやら…。

一緒に旅行にも行き、引越しもした。一緒にビールを飲み、焼き鳥まで食った。あっと言う間の四年間だったけど、大切で貴重な時間。掌の中で収まってしまうほどの小さな命に、一体どれほど癒され和まされたことだろう。

一時間半ほど掌の中で寝かせてたら、ふいにムクっと起き上がり、籠に戻って水を飲んだ。元気になったのだろうか?そのまま籠の中の止まり木で、眠ろうとしている様子を見て少し安心する。そのまましばらく様子を見ていたが、止まり木から落ちるような事も無く眠り始めたので、籠に布を掛けた。

だが安心するのは、明日の朝の様子を見てから。
今夜は長く静かな夜になる。

コメント(3)

みけねこ (2008年4月14日 00:45)

心配ですね……。
ものすごく、よく分かります、その気持ち。家族なんですものね。私も我が家のねこがちょっとぐったりするだけで、おたおたとパニック状態に陥りますから。

苦楽を共にしたインコちゃんが、朝には元気になっていますように……。

灰色猫 (2008年4月14日 00:53)

こんばんは。インコ心配ですね。
鳥って小さいから病気に気付きにくいし、ホントに何か訴えてくれたらって思います。
今日は冷えたからでしょうか?とにかくいっぱい温めて、明日は朝一番で病院に連れて行ってあげて下さい。
探偵長も身体を大事にして下さいね

探偵長 (2008年4月14日 09:25)

お騒がせしました。
今朝は、一応元気な姿を見せてくれています。
物言えぬペットだからこそ、気を使ってあげたいのですが、「ずっと元気でいるものだ」と言う
思い込みと油断があります。ダメですねぇ・・・・。

私が体調を崩す方が、気が楽です。
お気遣い、ありがとうございました。

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