セミナーに行って来た その1


参加したセミナーのテーマは、「本格化する業界再編へのシナリオ」と言うもの。
ここ数年のうちに劇的に変化するであろう、建設業界の仕組みや法律に対して、どんなふうに変わって行くのかと言う事を、解説するセミナーだった。

その骨子は二つ。一つは建築士にとっての確認申請の手続き、必要な書類図面内容の複雑化。簡単に言えば、木造二階建て程度の建物に関しては、確認申請の際に建築士が設計した建物である場合に限り、構造計算による安全確認の図面や計算書の添付は省略しても良いですよ・・・と言う内容だったものが、これからは「たとえ建築士の設計に拠るもので有っても、構造計算書や関係書類一式を全て添付しなさい」と言う内容に変わっていく。エンドユーザーにとっては、とっても良い事だし、建物の安全性を確認する図面や計算書を添付する事は、当たり前と言えば当たり前なのだが、現実はそうでもない事が多い。そしてその恩恵の一部を被っているのも、またエンドユーザーであったりする。例えば建売住宅や建築条件付住宅の認可は、建築士の設計行為あるいは認可取得行為に関して、その費用を施主が負担しない事が多々ある。仮に負担したとしても、その金額は通常の設計行為の25%程度だと聞く。中には10%以下の報酬で作業を依頼されることもあり、仕事をすればするだけ赤字になる事務所も増えてきているそうだ。

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つまり費用を安く抑えること=建物の値段が安い事であり、建築士への報酬なんて雑費同等の費用は、当然ながら考慮の下の方のランクになる。その結果、建築士は安い報酬の中で、出来る限りの最低限の図面で認可を取ることになる。これを根本から見直そうと言うのが「4号確認の特例の見直し」と言う一つ目。

これ簡単に書いてるけど、この改正を受けて、設計事務所を止めちゃう人が増えそうな気がする。だいたい木造住宅って、昔は大工さんが、現場で柱をカンナで削っては煙管を吹かし、梁を削っては茶を啜ると言う世界で造られている物だった。つまり長年の感と経験で、柱や梁の太さや位置を決めて建てたもの。その名残が今もあるので、正直言えば大工さんの感と経験で建てられると思うし、そう言う工法だった筈だ。だから今更、構造計算しろと言われたら、出来ない人だって居ると思う。それつまり廃業への序曲となる。

ちなみにうちは、ズッと前から構造計算している。以前、某役所に確認申請書を持って行った際に、役所の担当者に「木造住宅の確認申請に、構造図や計算書は要らないから抜いてよ」と言われた事がある。これからは設計する側も大変になるが、認可する側の作業量もまた莫大な量に増える筈。つまり認可が下りるまでの時間が、想像できないぐらい長くなる可能性も含んでいると思われる。

二つ目は建設会社に対しての規制。それは新築工事を依頼された際に、万一の瑕疵保障として、最低でも2000万円の現金の供託か、同等額の保険への加入が義務付けとなると言う事。長くなったので、続きはまた書きます。

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