『アーモンド入りチョコレートのワルツ』 読了-38

アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)
アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)
森 絵都

シューマン、バッハ、サティの調べに乗せた、三つの話が心をくすぐる。
ピアノ教室に突然表れたフランス人のおじさんは、まるでサティのように軽やかで、先生と私とサティおじさんと友人の四人は、夢のようにワルツを踊る表題作の「アーモンド入りチョコレートのワルツ」をはじめ、「子供は眠る」「彼女のアリア」の3作品が収められている。多感な心に、是非触れさせてあげたい一冊。

森さんの作品は透明感に溢れている。まるで清んだ水の中で文字が躍るようで、少年の、少女の心の中の透明度を表すかのよう。清潔で純粋な心は、気持ちを伝える事が下手で、相手を傷付け、自分も傷付いてしまう。そんな必要は無いのにと、もどかしささえ感じるのが思春期なのかもしれない。

特に印象深いのは「彼女のアリア」。
不眠症で悩む「ぼく」が、中3の秋に出会った一人の少女。今は使われなくなった旧校舎の音楽室で、彼女はひとりバッハを弾いていた。

そのシーンは目に浮かぶし、異性に素直に話しかける事が、如何に難しかったかを思い出す作品で、卒業式のシーンは胸がキュンとする。(いい年して、キュンは無いか・・・笑)
こう言う作品を、スポンジの感性を持つ年頃の人には読んで欲しいと思います。
さて、次どうしよう?森さんの未読作品も、まだ本棚にはある。
秋の夜長は、読書で楽しむタイプです。

ちなみにこの本から、バークリーの『毒入りチョコレート事件』を連想した私は、チョッとダメな奴かもしれない(笑)

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