クレーン転倒事故


都心のど真ん中で、全長28m・総重量104tと言う大型クレーンが、作業中に転倒すると言う事故が起きた。倒れたクレーンは、付近を通り掛かった歩行者や車に直撃し、重軽傷者が出ている。事故はケーシングの引き抜き作業中に起こったもので、現在、その原因を調査中との事。

大型クレーンに詳しく無いが、なんで横に転倒したのかが凄く不思議な事故だと思う。移動式クレーンの場合、吊荷の加重で転倒しないようにアウトリガー(車体の横に張り出す足)で足場を固め、アームの角度や向きに細心の注意を払っている。万一、バランスを崩したとしても、それは吊荷の荷重の影響が大きいと考えられるので、前後方向に倒れると思う。ところが事故現場の様子を見ると、アームと直角方向の道路に倒れている、これはチョッと不思議だ。考えられる理由は、三つぐらいだろうか。

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一つは、アウトリガーの問題。これはクレーンが転倒しない様に、車体の横に張り出す四本足の事で、これが踏ん張る事によって、重い荷物を吊り上げる事が出来る。このアウトリガーの設置面には養生鉄板などを敷き、ちゃんと踏ん張れるような地盤を作る事が前提だが、この地盤の確保に問題があったか、あるいはアウトリガー自体が規定の巾まで伸ばされていなかったのではないか。アウトリガーを規定の長さまで伸ばさなければ、踏ん張る力が期待できないのだが、作業場所が狭い場合、その足を伸ばしきるスペースが確保できない場合もあるからだ。

二つ目はコンピューターの問題。最近は、クレーンにもコンピューターが利用されている。重すぎる荷物の場合、コンピューターが判断し、リミッターを掛ける。つまり、これは持てないよと、自分で制御するのだが、このコンピューターに問題は無かったか。杭工事において、ケーシングを引き抜くと言う事は、既にコンクリートの打設が終っていたことを意味する。その際、何らかの問題で、ケーシングとコンクリートがくっ付いてしまっていた可能性も考えられる。こうなると、ケーシングを引き抜く際に掛かる荷重は、ケーシング本体の荷重だけではなくなってしまう。これを引き抜こうとすると、力任せに引っ張るか、少し揺するように左右に振りながら引き抜くかではないだろうか。その際、リミッターが働けば作業は中止となるが、万一リミッターが働かなかったとしたら、どうだろう。

そして最後はオペの問題。人の遣ることだから、どんなに熟練したオペでも絶対は無い。何らかのイレギュラーな事が原因で、操作を誤った可能性も勿論ある。他にも突風や地震、地下での何らかの異常事態や、オペの突然の体調不良なども考えられるが、いずれにしても早期の原因解明が望まれます。何よりも事故に遭われた方が、少しでも早く快方に向かうことを祈ります。

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