『トーキョーの謎は今日も深まる』 読了-47


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エッセイ集や評論集を読むと、ときどき凄く驚かされる本に出会う事がある。
文章の巧みさはもちろんだが、視点の斬新さや、解釈への思考のジャンプ力、そして対象に対するそこはかとない愛情の深さに驚かされるのだ。本書もそんな一冊だった。

<東京>と言うメトロポリスを、アメリカ人的な視点で眺めながら、驚きと同時に喜んだり楽しんでいる。その切り口が秀逸なのだ。
例えば「ウィンドーに貼られた詩」と言うエッセイでは、不動産会社の店頭に貼られた広告を見て、一枚一枚に描かれた建物情報を、あたかも芸術品のように捉えている。間取り図を広告のどの位置に配し、価格や概要を、どんなふうにアピールするか。それぞれの不動産会社の個性が表れるその広告は、まさに「いにしえの掛け軸」とさえ褒め称え、不動産屋のロゴを、落款として見立てているに到っては、全国の不動産屋さんが泣いて喜ぶに違いない。

外国人から見て、おかしい、変だと切り捨てるのは簡単な筈なのに、そこを愛情を持った視点で眺めるだけで、「メトロポリスTOKIO」は、かくも楽しく優しい街になる。物事を一つの角度、一つの感覚だけで捉えるのではなく、多面的多角的に眺める事が出来るだけで、人はきっと今より優しくなれると思う。街にも、人にも、建築にも、そう言う多視点が必要なのだと、あらためて感じさせてくれた一冊。

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