読んだ本二冊


ふだんミステリの検証本あるいは評論集を読んでも、その感想をUPすることはしていません。私にとっては勉強の本と言うか、教科書を読むようなつもりで読んでいるからです。同じように建築に関する本も、専門家が読む分には面白いが、普通の人が読んでも意味が分からないだろうなぁ・・・と思う本は、あまり感想を書かないようにしています。でもこの二冊のミステリ評論は、とても面白かったので、ご紹介しておきます。

法月氏の『複雑な殺人芸術』は、前半部の「ミステリー通になるための100冊」と題した書評と、後半の「初期クイーン論」に分かれています。前半の100冊の解説とあらすじを読むと、その全ての作品を読みたくなってしまうので危険です。また後半の「初期クイーン論」は、クイーンに傾倒していない私でさえも、その全ての作品を熟読しなければと思わせてしまう程の大胆な分析と検証が成されています。また「ゲーデル問題」に対する考え方に触れている点も、参考になりました。同時に出版された「名探偵はなぜ時代から逃れられないのか」も読みましたが、個人的には圧倒的に本作の方が面白かったです。

それからもう一冊は、都筑氏の『黄色い部屋はいかに改装されたか?」です。
この本、私の職業的琴線をビンビン弾き捲くりました。「これ、書いて良いんだ!」と、思わず唸ってしまう箇所がテンコ盛り。例えば、カーの名作『ユダの窓』のトリックに関して、建築的な視点で考察されています。勿論、トリックに関しては完全にバラしています。だってネタバレしないと、そのトリックがいかに成立不可能ではないかと言う自説を展開できないですからね。ちなみに私も、同じように「このトリック無理じゃね?」と思ったのは、今からはるか昔のことですが、名作であるが故に言ってはいけない事ってあるような気がして遠慮してました。都筑氏はそれを完全に、ぶっちゃけてます(笑) 
都筑さんて、こんな方だったんだ~と、凄く興味が湧いてしまいました(笑)

後半の「私の推理小説作法」は、これからミステリを書いてみたいと思われる方には、とても参考になると思います。着想の仕方や、話の膨らまし方、起承転結の付け方や登場人物の名前の付け方まで興味深い話ばかり。また執筆するための筆記用具の話などは、やはり深いこだわりを感じて、思わず「プロだなぁ~」と、感心しきり。今年読んだ評論関係の本の中では、一番面白いと思った一冊です。

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