HOME > 最新情報 > BLOG -建築的じゃない日々- > ミステリ本 > 『フレンチ警部と毒蛇の謎』 読了-23
そんな昔の作品なのに、本書はなんと倒叙物。
しかも動物園の園長を勤める主人公がメインキャラではなく、ある意味ではサブキャラというイレギュラーな構図。それでも流石はクロフツ! 事件に向かって転がり落ちていく主人公の心理が、読んでいるこちらが息苦しくなるほどに伝わってきます。その閉塞感の描き方は、実に鮮やか。
また、トリックを解説するために図版が入っているのですが、これがまた良い!
先に読んだ『二つの密室』にも図版が入っていましたが、実はクロフツ、図版を使った作品と言うのは、本当に少ないそうで、そう言う意味では貴重な作品でもあります。
それにその図版は妙にリアルで、作家になる前の職業・鉄道技師だった頃の知識が書かせたアイディアなのかも? と、思わせるほどの内容で、図版好きにとってはたまりません。
ただあまりにもマニアックな断面図で書かれているので、分からない人には、ほとんど「???」だったかも?そこだけが惜しかったですが、とても面白い一冊でした。
2010年9月16日 09:28
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岩脇 (2010年9月18日 01:01)
さすがですねえ。
確かに僕にはあれがちょっと「???」でしたよ。
でも「フレンチ警部と漂う死体」(1937年)の
第10章の船の構造とか、第19章の潮の流れとか、
説明されてもさっぱりわからないマニアックさも
僕には笑っちゃうほど「???」でしたから、
そういうのが実に楽しげに書かれているのも
クロフツの魅力のひとつだなあと思っています。
探偵長 (2010年9月18日 16:05)
岩脇さん、こんにちは。
やっぱりあの絵は「???」でしたか! (笑)
イラストで説明してくれるのはありがたいのですが
そのイラストがあまりにも専門的過ぎると、余計に混乱しますからね(笑)
どこかの本で読んだのですが、専門知識が無いと解き明かせない謎は、あまり褒められないとか。
クロフツの場合は、絵が専門的過ぎるだけなので
逆に文章だけで説明した方が、誤解を生まないのかもしれませんね。
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