『骨董屋探偵の事件簿』サックス・ローマー著

事件現場には、被害者の思念が強く残っている。だからその場所に身を横たえ一晩眠れば、被害者の思念を読み取ることが出来る。それはまるで映像を写し取る写真のように—。骨董品を扱うモリス・クロウには、そんな不思議な力が備わっていた。そしてその思念を読み取る不思議な能力を用いて、ロンドンで起きる不可解な事件の謎を解き明かしていく。

サックス・ローマーと言えば、『怪人フー・マンチュー』で有名。だから悪魔が出たり、怪しい怪人が夜な夜な街を跋扈するイメージが強いが、本書は少し違う。確かに老骨董商のモリス・クロウの雰囲気も怪しいが、どこか愛嬌に似た可愛らしさも感じる。そんな印象を受けるのは、たぶん娘のシーラの妖艶な美しさにも助けられているのかもしれないが。

エラリー・クイーンが選び抜いたお薦めの短編集『クイーンの定員』に、選ばれた一冊だけのことはある名作短編集。個人的に面白かったのは、『象牙の彫像』。なんせ、この類の密室からの消失劇が好きなので。

 

 

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