『黒龍荘の惨劇』岡田秀文 著/読了

明治二十六年、かつて伊東博文邸で共に書生として過ごした月輪龍太郎は、今では「月輪萬相談所」という探偵社を開いていた。その月輪のもとに、山縣有朋の別邸・黒龍荘で起きた殺人事件の謎を解明してほしいとの依頼が舞い込む。依頼者は政界の黒幕であり、山縣有朋の影の側近と囁かれる漆原安之丞の秘書・魚住隆明。黒龍荘には、漆原の四人の妾と医師、それに従兄弟と使用人が暮らしている。そこに一通の脅迫状が届くことから、惨劇の幕が開かれる。わらべ歌に見立てた連続首切殺人、座敷牢の囚人、不可思議な遺言状、そして脱出不可能な密室からの犯人の消失。怪しげな旧大名屋敷でもある黒龍荘で次々と起こる連続殺人の怪。月輪と私こと杉山潤之助は真相に辿り着くことが出来るのか―

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まぁ~凄い! よくもこれだけ殺されるもんだ! いや、驚いた。それに真相にも驚いた。まさかこんな展開になろうとは思わなかった。お察しの通りで、横溝正史チックな雰囲気でのお膳立てだが、暗く陰鬱な雰囲気は微塵もない。それどころか首がポンポン飛んじゃうのに、どこか冷静と言うか騒ぎ立てない雰囲気のまま、物語は進み続けていく。凄く不思議な感じ。でもかなりの本格物なので、トリックには感心される筈。面白かったです。

山縣有朋公と言えば、小田原とは関連が深い。読み始めた時に、一瞬「舞台は小田原か?」と、勘違いした。それと言うのも小田原市板橋には、「古稀庵」と名付けられた山縣有朋公の別邸があり、今でも多くの方が訪れるから。伊藤忠太設計の洋館と、ジョサイア・コンドル設計の建物があり、その敷地は11630㎡だと言われている。以前、古稀庵の直ぐ傍で住宅の設計に携わったことがあり、なんとなく馴染み深いのです。

話が反れたけど、明治時代のミステリもまた一興。なぜなら、この時代で無いと成立しない物もあるから。

 

 

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