『女郎蜘蛛』パトリック・クェンティン著/読了

女優の妻アイリスが母の看病へと出掛けた夜に、演劇プロデューサーの夫ピーター・ダルースは、友人の開くパーティの席で、作家を目指す少女ナニー・オードウェイと知り合った。気まぐれで食事に誘い、その後、友人として接するのだが、妻が看病を終えて戻った日、あろうことか二人のアパートメントでナニー・オードウェイが首を吊って死んでいるのを発見することになる。不貞を疑われ、その後に殺人の容疑者へとなってしまうミスター・ダルースは、絶体絶命のピンチに陥る。

初版は1952年の作品ですが、いやースッゲー面白かった! クェンティンの中で、一番と言っても良い。何が上手いって、引き込む筆圧の高さは抜群で、ダルースが身の潔白を証明しようと動けば動くほど、ドンドン悪い方へと転がって行く怖さは半端じゃない。男性目線で読んで、こんな女に引っ掛かったら、本当にもうどうしようもないと怖さを感じる。それは狂気と言っても良い。可愛い顔してエゲツナイことを考え悪知恵に長けている少女の幼顔に騙され、ウッカリ優しくしたらと考えるだけでも怖い。

オチは「これしかないよね」という展開だけど、そこまでの道程が楽しかった、いや怖かったです。

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