Essay 96 家庭内別居住宅

設計の仕事と言うのは、結構ハッピーな仕事なのだろうと思います。それは決して私が「ハッピー」だと言うのではなくて、夢と希望と、チョットだけローンの心配をしながら、これから建てる自分たちの城を夢見る人たちの手伝いをするのだから、当然仕事とすればハッピーな仕事だと言うこと。

一度なんか、完成の喜びに感極まった家人が、酔った勢いも手伝って「うちの娘を貰ってくれないか?」と叫ばれたことが有るぐらいですから、どのぐらい嬉しいのかは想像できますよね(^^)
(言っておきますが、その娘さんも今では2児の母らしいです)

ところが一度だけ、私が面食らうような条件の家がありました。諸事情は伏せますが、ご家族は全部で5人。ご夫婦に子供が二人、それにご母堂。ここまでは当たり前の条件ですが、よ~く話しを聞いてみると、ご夫婦は15年間の家庭内別居状態だとか・・・。

なんでも今の家は敷地が広く、母屋と離れがあり、奥さんと子供は離れで生活し、ご主人とご母堂は母屋で暮らすと言う生活が15年も続いていると言うことなんです。正直驚きました。「何で離婚しないの?」って、喉まで出かかってしまいましたが、それはそれ・・・大人ですから(^^;)

お話を伺ったのはご主人の方なのですが、さてさて一体どうやって「一軒の家」にすれば良いのか悩みました。が!よ~~~く、考えてみるとチョットおかしい???何がおかしいって、ご主人とは何度かお話したのですが、奥さんとお会いしたことが無い?これって大丈夫かいな???

と言うのも、以前にも同じようなことが一度だけ有ったからです。それは、ある奥さんが依頼主だったのですが、「山の中に2ヶ所の土地がある。家を建てようと思うのだが、どちらの土地が良いのか検討して決めて欲しい。その意見に従って進めるから」と言うもの。

私は調べましたよ~、ええ、水のこと、電気のこと、建設車両が入りやすいとか、造成費がどれぐらい掛かるとか、散々調査して両方の土地の比較対照表を作ったんです。その時間と労力の大変なことと言ったら無かったです。

で、ようやく資料をまとめて奥さんにご報告したんです。「解りました。主人と相談して数日中にご連絡いたします」と言った奥さんから、待てど暮らせど連絡が来ない?ありゃ?何か有ったかなぁ?と思いながら、それでも1ヶ月は待ちましたねぇ・・・。でも流石にチョット心配になって、こちらから連絡すると・・・・・ナント!!!ご主人はそんな話知らなかったと言うじゃ有りませんかーーーーー!

「いや~寝耳に水ですよ~。家内に聞いてみます」と言われたが、そりゃあ~アタシの台詞だっちゅう~の!(チョット古いか? ^^;)結局、奥さんの暇つぶしに付き合わされたようなもので、散々でした。(勿論、実費は頂きましたけどね)

と言う、苦~~~い経験があるものですから、ご夫婦揃ってお話を聞けないときと言うのは「チョット危ないよ?」って、センサーが働くようになったんです。

で、この「家庭内別居住宅」のご主人に、奥さんのご要望も聞きたいとお願いしたところ、実は全然話が通ってなかったんです。つまり、家を建てたいと思っていたのはご主人だけで、奥さんはそんな気はサラサラ無かったんです。

気を使わなくて住むアパート暮らしに大変ご満悦で、生活費と養育費だけ貰えれば一緒に住まなくて良いのですから、願ったり叶ったりとの事・・・・・何をかいわんや(>.<)でも、良く考えればそうですよね~。だって15年も家庭内別居してたんですから、今更「夫婦の寝室」なんて言われても、こっちだって「本気ですか~・」と思っちゃいますからね(笑)

まぁ、こんなケースは例外中の例外ですが、これから家を建てようとしている、そこの奥さん!どうぞ打ち合わせにはご主人とご一緒に行って下さいね。「女性の一人客はお断り」と言っていた、一昔前の温泉旅館のように、「ご夫婦の片方だけの打ち合わせは、お断り」なんて言われかねないかもしれませんからね(爆)じゃ!また。。。

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