HOME > 最新情報 > BLOG -建築的じゃない日々- > ミステリ本 > 『アイルランドの薔薇』 読了-31
完全なクローズド・サークル物です。
犯人はNCFが送り込んだ暗殺者なのか、それとも別の誰かなのかと言う謎と、暗殺者は誰なのかと言う謎。そして3年前に起きた事件との繋がりと言った具合に、閉じた空間であるが故の謎が生まれ、事件は混沌とします。石持作品の特徴でもある探偵役ですが、今回も一般人が演じます。
しかもその探偵役は日本人。外国人が持つ日本人への不可思議なイメージが、捜査に役立っているところが面白い。
ミステリには、名探偵が登場する安心感と、登場しない安心感があると思います。石持作品は後者。
キャラが際立つ名探偵が登場すると、謎の深度よりも探偵の所作や行動が注目されてしまい、ともすると謎が浅くても成立してしまう場合がある。ところがシリーズ化された名探偵が登場しない作品だと、謎の深度が命となります。だから読者にとっては、そんな作品を手にすると「当たり外れが多い」と感じてしまうのでしょう。
その意味において、石持作品は、あまり外れと言う印象を受けた事が無い。そして、それは凄いことだと思います。本作も、とても面白かったです。(ツッコミ所は何箇所かありましたけどね/笑)
2009年7月21日 09:11
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