築54年の住宅リフォーム計画現地調査


先週のオープン・オフィスで、御相談いただいた方の家の現調に行って来ました。
築54年の中古住宅を購入し、リフォームをしたいとの御計画。
これまでに紆余曲折があったそうですが、まずは建物の様子を見せていただきました。
板橋現調

敷地は二本の道路に接していますが、そのうちの一つの道路側外観。
平屋の建物は、なんとなく良い風情を残しています。
板橋現調

問題は裏に回ると見えてきます。
この敷地には約2mの高低差があり、建物の7割方が2m浮いている感じで建てられています。
板橋現調
その足元を支えているのは、数本の細い柱。
それを束(つか)と呼ぶべきか、柱と呼ぶべきかは迷うところですが
便宜上、ここでは束と表しましょう。
板橋現調
束は束石のような物の上に乗っていますが、固定されている訳ではありません。
ただ乗っているだけ。
しかもその束石も、地面の上に置いてあるだけ。
奥に見えるのは、2mの高低差を支える玉石積みの壁。

束は床を支える土台に届いていない物も多く、別の木材を挟み込んで調整しています。
板橋現調
これは束が無く、石と木材を挟み込んでいます。

これは束の寸法が短いため、両側から添え板を当て長さを調整してました。

2mの高低差が無い場所の床下。
束はコンクリートブロックの上に立てられ、土台との固定も成されていません。
束石の役目を担っているコンクリートブロックも、土の上に置かれただけの様子。

これも束が土台に届いていないため、薄い板を数枚挟み込んで高さを調整しています。

これにいたっては、束の足元部分が柱断面の1/3程度しかない状態。
余った柱を利用したのでしょうが、既にほぞが切ってある材料を使用したと考えられます。

その他にもいろいろと気になる点はありましたが、仕上げの化粧云々よりも大切なことは
まず骨格となる骨組みが堅牢であり、これから20年、30年住み続けられるようになるか?
という事に付きます。

「費用対効果」と言う言葉を耳にしますが、まさにそれ。
この建物を構造的に安心な物に造り直し、これからの長い生活に耐えうる仕様にするには
一体いくらの費用を要し、その費用に見合う効果が期待できるのか。

まず考えなければならないのは、そこでしょう。
これは慎重に検討する必要がありそうです。

 

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