『黒猫を飼い始めた』講談社MRC編集部編

26人の作家が共作したショートショート集。ただ、一行目の書き出しだけは全員同じ「黒猫を飼い始めた」とすること。その制約から26人の作家たちが、どんなストーリーを描くのかという共作。

作家さんたちは、たぶん全員がミステリ作家さん。御名前だけは承知している方や、作品も読んだことのある方、残念ながらはじめましての方もいらっしゃいましたが、作品はどれも面白かったです。ミステリ的に良く出来ている作品もあれば、怖い系のホラー寄りの作品もあります。こういう縛りを設けた共作は、けっこう好きです。昔、『50円玉二十枚の謎』という共作ミステリがありましたが、多種多様な発想を知ることが出来て、感激したことを覚えています。

本作の「黒猫を飼い始めた」の書き出しから、皆さん黒猫にちゃんと触れていることが意外でした。なかには書き出しこそ黒猫に触れるが、本作では全く別の話が展開される、で、最後の一行にまた黒猫が登場するなんて話もあるのではないかと思っていたのですが、そういう捻くれた、ある意味アンフェアな解釈をされた方は居ませんでした。流石です(私がその捻くれたタイプなので)

ショートショートなので、電車での移動中や仕事の休み時間と言った短い時間でも、区切りよく読むことが出来ます。たまにはスマホを置いて、紙の本に触れてみては如何でしょうか。