最近は予算削減なのか、家を建てる際に地鎮祭を行わない方が増えていると聞きました。神主さんから聞いたので、たぶん本当なのでしょう。
上棟式あるいは上棟の祭典を行わないというのは、なんとなく分かります。私がお手伝いさせていただくクライアントでも、上棟時に何も行わない方は意外といらっしゃるので。
もともと上棟式と言うのは、工事に携わる職人さんやご近所さん、親戚に対する感謝や労い、「この先も宜しくね」という挨拶の意味が大きいもの。もう少し掘り下げると、家を建てられるような人はお金持ちの御大臣様だった時代に、近所の方たちから妬みや嫉みを受けて意地悪をされないように、少しずつ福をお裾分けして、これから仲良くしてくださいね―の意味でした。
でも今はそんな時代ではないので、餅も撒かないし、親戚が集まって煮物や焼き物を振舞うようなことは少なくなりました。職人さんたちも車の運転があるので、現場で酒を呑むわけにもいかないし、その辺りは理解していると思います。ちょっとした御赤飯と缶ビールを渡して「この先の工事も宜しくお願いいたします」と言えば、十分すぎるかもしれません。
ですが地鎮祭は少し違います。地鎮祭は土地の神様に対して、「この土地に家を建てるので、家族の繁栄や安全を見守って下さいね、宜しくお願いしますね」という趣旨のものです。
八百万の神様を信心する日本においては、初詣に行って手を合わせるのと同じぐらいの意味があります。しかも上棟式に比べて、掛かる費用は4~5万円程です。これは神主さんへの玉串料なので、けして高い物ではありません。お祓いをしていただき、最後には家を地面の中から守るお守りとして「鎮め物」まで頂戴出来ます。
神社さんに拠っては、祭典に祀る海の幸と山の幸を、持ち帰らせてもくれます。「その海の幸・山の幸を持ち帰り、夜の食事として家族で食べてね、それは神様のお下がりだからね」と、食材までいただけます。この食材を有難く食べることを「神人共食 しんじんきょうしょく」と、言います。
このお祓いを予算削減のために「止めます」と、言わなければならない程、予算が厳しいならば、家を建てることを一度、考え直した方が良いとさえ思っています。工事が始まると、きっと大なり小なりの追加や変更が生じます。その時に地鎮祭を節約するほど予算が厳しいと、きっと対応できないと思うからです。
地鎮祭、神人共食、これらには深い意味があります。意味を知らなくても事は為せるかもしれませんが、意味を知ることで考えを改めることだってあります。
このGW中にHMのモデルルームを廻り、家を建てる相手を探す方もきっと多いと思いますが、そんなことまで話せる相手を選べたら、きっとあなたの家造りは一味違ったものになると思います。どうか良いGWを、お過ごしください。