上がった値段は下がらない

「米は支援者からいただくから買ったことが無い。家には売るほど米がある」と言った農林水産大臣の発言は、一体誰に向けてのメッセージだったのだろう? 支援者に「もっと送って下さいな」というメッセージだったのか、農水大臣の立場になると米だけではなく野菜でも乳製品でも、言えば届くから良いでしょ~という子供みたいな自慢なのか、それとも「こんな僕に次の選挙も投票してね」ということだったのか本当に謎。

少し前までは5kgが2000円台で買えた米の価格が、今では5000円台になっている。備蓄米を放出しようと、いったん高くなった価格は下がらないのは世の常であり、市場価格の常識。来年、例年通りに米が獲れたとしても、もう5kg2000円台に下がることは無いだろう。その状況で、よくもあんな幼稚な発言が出来たものだと可笑しくもあり、哀しくもある。

少し前に住宅の新築計画の御相談をいただいた。御予算は設計監理報酬・その他関連経費一式を含めて総額3500万円とのこと。家に関する詳細なご希望を伺う前だったが、現在の相場観からすればかなり難易度が高い計画だと想像できる。

仮に建物面積を35坪×90万円/坪=3150万円と仮定する

外構工事費用に150万円

合計3300万円+消費税(330万円)

水道の局納金をはじめとした経費一式を80万円(地質調査や登記費用など含み)

この時点ですでに3710万円

他に設計報酬が加わり、竣工後には火災保険が5年で約50万円程度と見積もったら、総額で500万円以上は足りない計算になる。しかも現在、坪単価90万円で出来るかは、かなり怪しい。HMに問い合わせれば、坪単価100万円は下らないと言われるだろう。

たしかに7~8年前には、坪単価60万円台のローコスト住宅を手掛けたこともあるが、コロナ禍以降跳ね上がった価格は、もう元に戻ることは無い。「10年前に出来たのだから、今でも頑張れよ」と言われても、それは無理というもの。

「うちには建材メーカーからの付け届けの品が山積みされているので、ただ同然で家を建ててあげますよ」なんて話は、庶民の中には無い話なのです。予算感を間違えると取り返しがつかないことになる場合もあるので、家造りは自分に都合の良い情報だけで進めないようにご注意を。