人が住まなくなった山間の小さな集落に、人を呼び、定着させることを目的として発足された南はかま市役所の「甦り課 よみがえりか」と、名付けられた部署。三人だけのスタッフで「Iターン支援プロジェクト」をサポートし、移住者の定着に向けて彼是と活動するのだが、移住者たちの間で小さな事件が起きてしまう—。
地方都市の過疎化問題は、日本中の何処にでもある課題なので、その辺りも楽しみに読んだのですが、その辺りの建築的なアプローチはありませんでした。一話一話に盛り込まれている謎は、それほど大きくはないのですが、全体を通しての謎は面白かったです。甦り課の三人のうちの一人、主人公でもある万願寺さんの扱いは、少し可哀想な気がしました。
ちなみにクイーンの『Xの悲劇』や『Yの悲劇』のような本格ミステリとは、少し毛色が違いますので、ご注意を。