『ライアーハウスの殺人』織守きょうや 著

恨みを抱く相手を殺害するためだけに、孤島に建てられた”仕掛けのある館”。その館に招待されたミステリマニアの人たちと、館の主と二人のメイドの物語。登場人物は「みんな嘘つき」と帯に書かれていることから、登場全員は怪しい人物ばかり。少しだけ御縁があったので、興味を持って拝読した一冊。

館の間取りに関して、少しだけ編集者さんと雑談したことがあり、間取りは何となく知っていました。その間取り図が記載されていますが、所謂館物とは少し違うミステリと言えます。十角館や時計館、あるいは斜め屋敷のような建物ではないと言う意味です。それでも書名に「ライアーハウス」とあるので、どうしてもそちらを期待してしまいますが、これは嘘つきの家の意味ですね。作中で正しい意味は説明されています。

読後の感想とすれば、作中の説明が少し冗長な気がしました。間取り図がもう少し書き加えられていれば、その辺りの説明は簡素化できたような気がして少し勿体なかったです。また設計者目線で言えば、この間取りで建物は作らないと思いますが、そこは事件を起こすためのガジェットとしての「館」ですから仕方ありませんね。

個人的には『花束は毒』の方が好きでした。