オートロック解除権限の行く末

国交省がオートロック機能を持つマンションに関して、宅配業者にオートロック解除権限を持たせると言う考えを、早ければ2026年から実施したいと発表したそうな。今や宅配業者による荷物の流通は飽和状態にあり、ドライバー不足や流通コストの上昇をはじめとした問題が山積みとなっている。さらにドライバーの運転時間に制限を掛けたことから、再配達という二度手間を減らしたいと言うことらしい。なるほどね、そういう手で来たかという感じ。

すでに都内の約2万戸のマンションで実施されており、モデルケースとしてのデータを集めているらしいのだが、当然、マンションの入居者は知ってのことですよね? マンションの管理組合が同意しないと、宅配業者への解除権限付与はしないと言っているらしいが、これもいつものことで、きっとそのうちになし崩しになると思います。例えば紙の保険証廃止のように。

たしかに届け先不在で再配達することが、配達効率のロスになることは理解しますが、そもそも「オートロック機構を持つマンション」とは、防犯性能が高いということを売りにしている筈。少なくとも入居者側は、そう解釈している筈です。それを宅配業者に一律で解除権限を与えてしまうと言う事は、オートロックの意味は無くなります。勿論、オートロックがあれば絶対に安全か?と聞かれれば、そうではないと思っていますが、それは解除番号の管理の問題と、進入意図を以って突破しようとする奴には、オートロックなど無駄だと言う意味での話。ですが、それとこれとは別の次元の話です。

もし性善説を以って、宅配業者のオートロック解除権限付与を考えるならば、そもそもオートロック機構なんて設ける意味がありません。コンシェルジュが在中しているようなマンションなら、また話は別ですが、今は地方都市のちょっとしたマンションでもオートロック機構を設けた建物はざらにあります。それは、そこに少しだけマンションの付加価値を付けようと考えた機構であり、入居する側もそこに「ほんの少しの安全」を見出したから入居するのだと思います。それを国からの一方的な押し付けで、無意味な物にして良いのかは、はなはだ疑問。

また宅配業者だけではなく郵便局はどうするの?と、思ったら、少し前に郵便局に荷物の配達はさせない旨の命令をしていましたね。たしか車両の整備点検や飲酒、体調管理が出来ていないから、これからは車両による荷物の配達はさせないと言った内容だったと思います。その直ぐ後にこれですか……、なにか作為的なものを感じさせますね。

オートロック機構のあるマンションに住んでいる方は、これから防犯意識をあらためて、より安全に配慮した暮らし方を考える必要がありそうですね。