飼い猫のピートは、冬になると家の中のあちこちの扉の中から、「夏への扉」を探し始める。なんせこの家には外に通じる扉が11もあるのだから。その扉のどれかが、夏に繋がっていると信じているのだろう。1970年、ぼくも恋人と親友に裏切られ、大切な研究成果も騙し取られ、会社からも追い出されて自暴自棄になっていた。猫のピートと一緒に30年後の2000年までコールド・スリープ(冷凍睡眠)して、未来の世界で僕を裏切った彼らに復讐しようかと考える。SF小説の名作。
1979年にハヤカワ文庫から刊行された作品の新版を読みましたが、いや凄く面白かったです。流石名作と呼ばれるだけあると、唸ってしまいました。1979年と言えば日本では、ディスコが流行し始めた頃で、夜な夜なSOUL TRINを観ていたのを思い出します。また今では誰もが知っている有名なSF映画の数々は、なにも生み出されていない時代に、こんな小説が描かれていたなんて本当に驚きました。
なにより起承転結がキレイ! SF小説もオチというか、顛末に魅力や驚きが集約されていますが、これも驚きの展開が用意されています。たのにはSFも良いですね。
