中古住宅を購入するとき、「この家でも住宅ローン減税は受けられるのだろうか」と気になる方は多いと思います。結論から言えば、中古住宅でも一定の条件を満たせば住宅ローン減税の対象になります。 ただし、新築以上に注意したいのが、床面積・所得・ローン期間・耐震性です。とくに築年数の古い住宅は、購入前に確認しておくべき点があります。
この記事では、中古住宅購入時の住宅ローン減税について、建築士の立場から分かりやすく整理します。税額そのものは個々の条件で変わりますので、最終的な申告は税務署や税理士に確認していただくのが前提ですが、購入前の段階で何を見ておくべきかは、建築の側からかなり整理できます。
中古住宅でも住宅ローン減税は受けられます
国税庁の案内では、住宅ローンを利用して中古住宅を取得し、令和4年1月1日から令和7年12月31日までに居住を開始した場合、一定の要件を満たせば住宅借入金等特別控除の対象になります。つまり、「中古住宅だから対象外」というわけではありません。
「中古住宅は減税が使えない」と思い込んでいる方もいますが、実際にはそうではありません。むしろ問題になるのは、その住宅が制度の条件に合っているかです。購入金額だけを見て判断するのではなく、建物の状態や書類の有無まで含めて確認する必要があります。
住宅ローン減税を受けるための主な条件
国税庁が示している主な条件を、購入を検討している方に分かりやすく言い換えると、次のようになります。
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中古住宅の取得から6か月以内に入居していること
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その年の12月31日まで引き続き住んでいること
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合計所得金額が2,000万円以下であること
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床面積が50㎡以上で、その2分の1以上を自分の居住用として使うこと
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返済期間10年以上の住宅ローンであること
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昭和57年1月1日以後に建築された住宅であるか、またはそれ以前の住宅でも耐震性を証明できること
ここで見落としやすいのが、床面積は登記事項証明書に表示された面積で判断されるという点です。マンションは専有部分の床面積で判断されますし、店舗併用住宅では建物全体の床面積で見られます。間取り図の印象ではなく、登記上の数字で判断されると考えた方が安全です。
築年数が古い中古住宅で注意したい耐震性
中古住宅でいちばん注意したいのは、やはり耐震性です。国税庁では、昭和57年1月1日以後に建築された住宅であれば、原則としてその条件を満たす住宅として扱っています。一方で、昭和56年12月31日以前に建築された住宅については、耐震基準を満たしていることを別途確認する必要があります。
この点は、既存記事で少し強く書かれていた「確認通知書」や「完了検査済み証」だけが絶対条件、という理解よりも、もう少し丁寧に整理した方が正確です。申告時の提出書類として国税庁が挙げているのは、たとえば耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書などで、築年数の古い住宅ではこのいずれかで耐震性を示せる場合があります。
建築士の実務感覚としては、確認済証や検査済証、過去の図面、増改築履歴が残っていると、現況確認や証明の見通しを立てやすくなります。ただし、税務上の申告書類として何が必要かと、建築実務上どう調べると安全かは、少し別の話です。ここを分けて書いておくと、読んだ方の誤解が減ります。
必要書類は「古い家ほど早めに確認」が大切です
確定申告で必要になる書類として、国税庁は、ローン残高証明書、登記事項証明書、売買契約書の写しなどを挙げています。さらに、築年数の古い住宅では、先ほど触れた耐震関係の書類が必要になることがあります。
ここで大切なのは、購入してから調べるのではなく、購入前または契約前の段階で見通しを立てておくことです。買ってから「この家は耐震の証明が取りにくい」「図面が残っていない」「増改築履歴が複雑だった」と分かると、減税だけでなく、その後の改修計画にも影響が出ます。
控除額は一律ではありません
住宅ローン減税は、どの中古住宅でも同じ額になるわけではありません。国税庁の案内では、**一般的な「その他の住宅」**については、令和4年から令和7年までに居住した場合、年末残高等の0.7%、控除期間10年、年間の控除限度額は14万円とされています。一方、認定住宅等では上限が異なります。
したがって、「中古住宅を買えば必ず140万円戻る」といった単純な話ではありません。借入額、年末残高、住宅の区分、所得税額などによって実際の控除額は変わります。金額の最終確認は税務の専門家に相談しつつ、建築の側ではそもそも制度の対象になりそうかを早めに見極めることが大切です。
2026年以降の制度は、入居時期によって見方が変わります
ここは少し注意が必要です。現在の国税庁の案内では、令和4年から令和7年までに居住した中古住宅の条件が整理されていますが、国土交通省は令和8年度税制改正の大綱として、住宅ローン減税の延長・拡充を公表しています。そこでは、既存住宅にも40㎡以上への床面積要件緩和を適用する方針が示されており、ただし合計所得金額1,000万円超の方や子育て世帯等への上乗せ措置利用者は50㎡以上とされています。
つまり、これから中古住宅を購入する方にとっては、**「今見ている制度が、どの入居時期のルールなのか」**を分けて確認することがとても大切です。制度改正は公表されていても、入居時期や住宅の区分で扱いが変わるため、記事の中でも「現行の国税庁案内」と「今後の拡充方針」を分けて説明した方が、読者に親切です。
小田原で中古住宅を買う前に、建築士へ相談する意味
中古住宅の購入では、住宅ローン減税の対象になるかどうかだけでなく、図面と現況が合っているか、増改築履歴に問題がないか、耐震の見通しが立つか、将来どこにお金がかかりそうかを、できるだけ早い段階で見ておくことが大切です。
不動産会社は売買の専門家で、金融機関は融資の専門家です。けれども、建物そのものを見て、「この中古住宅は安心して住み継げるか」「証明関係は進めやすいか」を判断するのは、建築の専門家の役割です。中古住宅は新築よりも個体差が大きいので、購入前に一度立ち止まって確認する価値があります。
小田原周辺で中古住宅の購入を検討されていて、
「この物件でも住宅ローン減税の対象になりそうか」
「築年数が古いけれど、どこを見ればよいのか」
「購入前に図面や書類を確認してほしい」
そうした不安がある方は、天工舎一級建築士事務所までご相談ください。税務申告そのものは税務の専門家と連携しつつ、建築の側から、購入前に見ておくべき点を整理してお手伝いします。