『驚異の隠し部屋 世界各地の内緒の部屋・秘密の抜け道・迷宮・秘宝』 ステファン・バックマン、エイプリル・ジュヌビエーブ・トゥーホルキー 著

世界各地に隠された「秘密の部屋」や「隠し通路」、「抜け道」、さらには「隠された都市の謎」までを紹介した、資料集のような一冊です。参考までに目次の一部を書き出してみると、こんな感じです。

・沈黙の公爵の地下王国
・ドールハウスに託す秘密
・ウィンチェスター・ミステリー・ハウス
・テンプル騎士団、フリーメイソンとイニシエーションの井戸
・迷宮と迷路の歴史
・マリー・アントワネットの寝室の隠し扉
・大英博物館の「秘密の陳列室」
・ツタンカーメンの墓と宝探し
・etc.

秘密のダンジョンや脱獄トンネル、本棚の裏に隠された部屋など、現実に存在する「秘密のアレ」がてんこ盛りです。小説の中に登場する秘密の部屋も魅力的ですが、現実に存在した秘密の部屋には、それとはまた違ったリアルさと生々しさがあります。そんな秘密の世界を覗き見ることができる一冊です。

ただし、ここで資料集と書いたのには、少し理由があります。この本は、隠し扉の仕組みや実例を写真やイラストで詳しく解説するというよりも、なぜそこに隠し扉や秘密の通路を設ける必要があったのか、その歴史的背景や生い立ちに重点が置かれているように感じました。

例えて言うなら、現代の住宅に設けられた「秘密の扉」の話というよりも、歴史と伝統のある古城に「秘密の廊下」が存在した理由に注目している、と言えば伝わるでしょうか。

そのため、写真やイラストよりも文字が多い本です。

では、つまらない本なのかと聞かれれば、そんなことはぜんぜんありません。

歴史的な出来事や人物たちの事情を知ることで、なぜそこに「隠し」が必要だったのかが見えてくる。その背景を知ることができるのは、とても興味深いものですし、なるほどと納得させられる話もたくさんあります。

こうした秘密の部屋や隠し通路に興味のある方は、ぜひ一読してみてください。

あ、一つ笑ってしまったことがあります。

本棚が隠し扉になっているものや、本棚の後ろに隠し部屋があるものは、いちばん簡単に見つけられます、と書かれていたことでした。

なるほどねぇ……参考にします。

 


安井俊夫|天工舎一級建築士事務所
一級建築士・『建築トリック謎解きガイド』著者。建築や暮らし、本について日々感じたことを書いています。