かつては小学校の校長を務めていた祖父は、幻視や記憶障害といった症状が表れるレビー小体型認知症を患い、自宅で介護を受けながら一人で暮らしていた。孫娘も同じ教職の道を選び、大好きな祖父に日常で起こる不思議な謎を話すと、祖父はかつての快活で頭脳明晰な冴えを取り戻し、謎を解き明かしてくれる。その瞬間だけは、かつての祖父に戻るので、いろいろな謎を聞いてもらうのだが、その先には大きな危機が待ち受けていた—
著者の名前を何処かで聞いたことがあるなと思っていたら、放送作家さんだったのですね。読みやすく、謎の提示と解明も楽しかったです。解明に至る道程も、単純に一つのストーリーを紡ぐのではなく、物語を描いては訂正し、あるいは否定した上で最良の解だと思える物語を描いて見せる展開は、読んでいて楽しかったです。
続編の『名探偵じゃなくても』も、読んでみます。
