Essay 64 建築条件付住宅 2

前回のエッセイ63「建築条件付住宅」の続きになります。
前回の私のメールにレスがされたのが、今回の内容です。それに返信した私のメールを掲載致します。 これって、とても大切な話だと思います。皆さんも、他人事と思わずにお読み頂けますよう、お願い致します。


S 様

天工舎の安井です。メールをありがとうございます。
前置きは抜きにして、お返事致しますね。


1.施工費が決まっているのならば、その仕様や材料を明確に施主に提示する。
2.施主は施工者(不動産会社)ではなく、設計・監理者と個別に契約する。
3.設計監理者は施主と施工者の建物請負契約書に「監理者」として記名捺印し
 責任の所在を明らかにし、監理上の指導・発言権を「施主が設計者に与える。
4.完了検査は必ず姿勢を持つ。


メール頂いた上記の件ですが、これは施主の意向次第で簡単に 出来る事なのでしょうか。


出来ると思います。 私が申上げている「施主との設計・監理契約」と言うのは 実施設計や法定監理外の作業までを含めた、設計業務の事を 指しているのではありません。

俗に言う「代願業務」の作業を指しているのです。 「建築条件付」の場合、建物の請負契約は条件として3ヶ月以内の 締結だったと思います。 その期間を逸脱してまで、あるいは施主の予算にない費用まで捻出させて 「実施設計や施工監理」を強要するものではありません。


代願申請業務および基準法監理を契約すると言う事なのです。 また、代願作業全般を指して「これ全て悪」と決め付けている物でも 有りません。


現在の建築条件付住宅の場合、一般的には不動産会社が懇意にしている 設計事務所に認可の作業を依頼します。 ただし、その設計事務所は施主との接点を持たない事が多いのです。


するとどうなるか?やはり設計事務所は「施主」より「施工者」側に近い 立場になってしまうのです。これを中立にさせる事が必要だと思うのです。

静岡県の場合などは、完全な代願業務であっても、「施主と設計者」の 契約書を添付しないと、確認を受けつけてくれません。 また、金融公庫仕様でなくても静岡県が指示する工事箇所に 設計者の立会い写真がなければ、完了検査も受けつけられません。


これは、一重に設計者が適切に工事監理が出来る立場に立たせ 建物の質の確保を、施工者と共に守りましょうと言う考えに立った物だと 思われます。


余談ですが、県が指導する工事箇所は7,8箇所もあります。 つまり、「最低8回は現場監理しろ!」と言われているのです。 例えば、小田原から三島まで8回監理しに行くとしたら、従来の代願作業報酬では赤字になってしまい、やらないほうが良いと言う 事にもなります。 当然、それだけ報酬を貰わなければならない。 それを施主と契約する際に、キチンと理解して頂く事も可能だと思うのです。


これならば、施主に金銭的な大きな負担はかけないでしょう? だって、御社でも施主に「土地代金+建物本体価格+諸経費 (大体300万円位)」と、お話しするとありましたよね? どの項目かは判りませんが、許認可申請報酬○○万円と 記載されているのでしょう?その金額は代わらないのですから。


「当社では、設計者と直接打ち合わせ頂き、この金額での契約書を 直接交わして頂きます。そして、より良い建物を共に造りあげる為に お客様の立場に立った工事監理を望んでいる物です」と言えば良いだけの事ですが、難しい事でしょうか?


とにかく設計・監理者は自分で指定して別に契約する」とは 主張しないような気も。


今はそうも一概に言えないのですよ~。 「図面は、こっちで」と言う方も多いのです。


割高感がお客さんを遠ざけてしまいそうな気もします。 (まさに他はタダでやってくれるという感覚)。


それがいけないのだと思っているのです。 設計や監理と言った作業が、一体いつから「ただ。つまり無報酬の作業」になったのでしょう? 設計事務所が、「ただですよ~」と吹聴したのでしょうか? 施主が勝手に「そう思い込んだのでしょうか?」もしそうだとすれば、その理由はなんだと思いますか?
(上記内容に関しては長くなるので割愛しますね)


足りない頭で私なりに考えてみました。根本的に解決するには業界全体の 体質改善が必要なのでしょうか。


い~え!業界全体の体質改善など、望んでも無理な事ですから望みません! ですが Sさん、一度ゆっくりと外の世界が、どう動いているのかを見たほうが 良いと思います。


・なぜ品確法は出来たのか?
・なぜこれだけ「欠陥住宅」が増えたのか?
・住宅メーカーの財政状況や作業の流れはどう変わったのか?
・金融業会は建設業界の未来をどう見ているのか?
・それはなぜか?


などなど。
残念ながら Sさんは、まだ外の世界の状況が見えていないようです。 建築基準法が、毎年目まぐるしく変わっているのはなぜか?と言った 理由を考える事が大切だと思います。そして、それが明日の御社の発展に繋がるのだと思います。


先日の私の御質問のメールですが、お役に立てるようであれば、是非、 御自由にお使い下さい。


ありがとうございます。 遠慮なく使わせて頂きます。 Sさんの名は、匿名と致します。第三者にも判りやすく補足する為に 私の発言に関しては、一部加筆・添削致します事をご了承下さい。


これを期に、良い家造りとは・・・?みたいな話が、盛り上がる事を期待します。
長くなりました。 また、宜しくお願い致します。
 

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