Essay 108 設計者の弱点(私の場合)

建築家・設計者・設計士・設計屋さんと言うように、建築士の肩書きを持つ人の呼ばれ方は、様々あります。突然ですが、ここで問題です。国家資格である「○級建築士」の資格を持たなくても成れるのは、さてどれでしょう?(正解は最後に・・・)


と、突然話が反れてしまいましたが、今回の本題はこんなことではありません。建築の設計業務に携わる方なら大なり小なり、建物の計画には携わる筈だと思います。この「計画」と言うのは設計作業の中でも、一番面白いのと同時に一番辛い作業でもあるのです。


私の場合だと建築主の方と何回もお話を重ね、建築主が本当に望んでいることや、考えていることを言葉の端端から読み取り、土地の形状や環境、周辺の建物や家族の生き方と言った様々な要素を組み合わせ、最終的に、「こんな建物が良いかなぁ~?」と試行錯誤を重ねていきます。


言ってみれば、様々に散りばめられたヒントや謎を丁寧に解きほぐし、一本の線にする作業です。
そう、ちょっとミステリー小説に似ていますね。


ところが私の場合、弱点が一つあるのです。いえ、ひょっとすると私の場合だけでなく、大勢の「正しき設計者」の方はそうなのかもしれませんが、所謂「建売住宅」のように、明確なクライアントがいない場合のプランには、なんとも手を焼いてしまうのです。


計画するのに特別な条件も無く「万人に通用する建物を計画してくれ」と言われた日には、ほとんどお手上げなんです。多くの方は「条件が無いほうが好きなことが出来て良いのでは?」と思われるかもしれませんが、それは能力のある設計者の場合で、私みたいにクライアントの言葉や考え方をヒントにしているような場合には、この上なく辛い作業なんです。


建物の広さ・予算・デザインと言った全ての事柄を、万人に受けるように作るなんて至難の業としか言いようがありません。例えば、「ここに設け吹き抜けを設け解放的な部屋にしたい。ただし暖房の点には考慮したいから、床暖房を設けて・・・」なんて考えても、実際に床暖房を設けるかなんて解りませんよね?その場合、ここの吹き抜けは作りにくいかなぁ~なんて具合に、思考が堂々巡りの無限ループに陥っちゃうのです。こうなったら、もう最悪!あとはどこで妥協するかだけの話ですから、あんまり気持ちの良い作業じゃないのです。しかも性格的に諦めが悪いと来てるから困ってしまいます。


もし、これから家をお建てになる方がいらっしゃったら、「計画はお任せしますよ~」なんてことは、口が避けても言ってはいけません!相手が良識ある設計者なら、この上なく苦しみますし、無責任な設計者なら5分で書き上げてしまいますから(爆)冗談のようですが本当なのが怖いところ。

私がなぜこんな話を書いているかと言えば、ただいま「無限ループ」の真っ最中なんです(笑)で、気分転換にパソコンのキーを叩いていると言うわけ。


冒頭のクイズの答えですが、建築家・設計者・設計士・設計屋さんの中で、国家資格を取らなくても成れるのは「建築家」でした~。えっ!何故かって?「建築家」と言う名称に明確な定義は無いんですよ~。だから「自称建築家」も有りって言うわけ。


勿論、建築専門誌で名前を見かけるような方でも「建築士」の資格をお持ちで無い方も、時々いらっしゃいますがね。こちらの方は本物の建築家でけどね。つまり「馬力のある方は国の資格なんか必要としない」と言うことですかね?ちなみに私は資格を持ってます。


余談ついでにもう一つ。一級建築士の資格のことを俗に「足の裏に着いたご飯粒」と言います。意味は「取らないと気になるけど、取っても食えない」と言うこと(^^;)お粗末さまでした・・・。
 

にほんブログ村 住まいブログ 住宅設計・住宅建築家へ

ブログランキングに参加しています。
宜しければ応援の一押しを、宜しくお願い致します。

コメントする

< Essay 107 プロの仕事とは  |   一覧へ戻る   |  Essay 109 違反建築天国 日… >

最近の画像

お問い合わせ

  • お問い合わせフォーム
  • 0465-35-1464

このページのトップへ