Essay 160 親切な建築家?

新聞に掲載されている新書の紹介を見ていました。すると一冊の面白そうな雑誌のタイトルが目に留りました。「親切な建築家と建てた家?・・・・・なんじゃこりゃあ?」


なんでも“親切な建築家と建てた家”と言うタイトルの本が出るらしい。そそるなぁ~、この冠。
だいたい「親切な建築家」の親切って、一体何を指しているんだろう。その定義が不明じゃ。


例えばクライアントが事務所に来た時に、奥さんの椅子を引いてあげるとか、レディーファーストを実践するとかかな?それともコーヒーに、砂糖を入れてあげるとかだろうか?そんなんで良いなら、芝生に座る時に、お気に入りのハンカチを敷いてあげちゃうぜ! 


近頃は、いろんな「冠タイトル」を付けた建築雑誌が有るけど、これけは全く想像が付きません。
「こだわりを持つ建築家と建てた家」とか書いてあるなら、まだ解りやすい。素材や工法、空間構成やゾーニングに拘っている建築家を指すのだろうと、想像するのは容易い。

「ローコストで建てた家」なんて言うのも、一目瞭然!もっとも、このローコストも意外と曲者だが。だいたい普通の人が想像する「ローコスト」って、どれ位の値段を想像しているのかが解らないでしょ?個人差・地域差が有るのは勿論の事、どこぞのハウスメーカーの広告チラシを基準にして至るなら、とても恐ろしい現実離れした数字だったりします。


以前、メールで質問を頂いた方など、『凡そ50坪ぐらいの建物を、1000万円程度で作りたいのですが、可能ですか?」と言うのが有った。変に期待を持たせるのも可哀想なので、ハッキリと「無理!」と、お返事したことがある。

そりゃあ~そうでしょ~!人里離れた山の中で、自分の山から木を切り倒し、セルフビルドで建てるのなら可能でしょうが、都会のど真ん中で、大きな吹き抜けに暖炉を設け、総漆喰壁で土間空間を持つ家、そんな家が坪20万で建つのなら、私が企画住宅として売りだすっちゅうの!


人によって情報網は千差万別。だから多少の差は許容するけど、あくまで多少であることが前提。今時、坪20万で建てられる家が何処にあるの?(そんな情報をご存知の方が居たら、内緒でメールください。些少の御礼はしますから)


と、まぁ~話は大きく脱線してしまったが、実際に『ローコスト』の目安は個人差が有る。だから『ローコストで建てた家』なんて言う特集の本に載っている家も、読み手によっては全然ローコストでは無かったりする。


当然のことながら、出版社側にも、ある程度の微調整がある(←この言い回しが微妙)
どの程度の微調整なのかは、状況によって違うだろうけど、「微調整」や「帳尻合わせ」は絶対にある。


酷い本だと、書いてあるのは本体工事費だけで、外構工事費が抜けていたり、設計料が載ってなかったり。もっと酷いと消費税だって載ってない。(これホントは載せてないが正しい) 
坪50万の費用で、30坪の家建てたら1500万ですよ。その消費税だけでも75万するのに、それを載せないで『ローコストでっせ~』と言われてもねぇ~。素人騙すにゃ充分でも、チョット齧った人は騙せやせんぜ、ダンナ~・・・・・・って感じ。


まぁ~いろんな本が有るもんです。だから、これから家を建てようと考える人が、参考になる本を探す場合は、何でもかんでも買っちゃダメってこと。自分が知りたい興味は何なのか?あるいは難しい理屈なんかが書いてある本もダメかも?(見栄で買っても意味ないです)


少しばかり専門用語を覚えて、営業マンと丁丁発止渡り合おうなんて思うのは愚の骨頂。そんな本なら買わなくても、図書館に行けば選り取りみどり揃ってます。


近頃は『建築家』と冠を付けた本が、やたらと目に付きますが、その手の本を選ぶなら、建築家のコメントが付いている本が良いと思う。ほんの一言でも、どんな事を考えているのかが解った方が良い。ただし建築家が読み手に対して、理屈を捏ねているのは如何なものか。


家造りはコミュニケーションが大切。だから異星人と話しているような相手では、とてもじゃ無いが『自分の家を任せられない』・・・のでは?


きっと「親切な建築家・・・」と言う本も、大勢の人が読むのかもしれない。私もチョットだけ読みたい。勿論立ち読み程度で。で、どんなことが親切なのかを、ジックリ研究したいと思う。で、『続・親切な建築家と建てた家』に載りたいと思う。


もっとも、これだけ書いたら、出版社には嫌われるだろうけど。