『白と黒』 読了-5

白と黒 (角川文庫―金田一耕助ファイル)
横溝 正史

1960年、人気推理作家のS.Y先生の自宅から程近い場所に建つ日の出団地。その団地内に、不審な怪文書が出回ると言う事件が起こり、住民はなんとも言い知れぬ不安と恐怖を感じていた。「Ladies and Gentlemen」と言う書き出しで始まるその文書は、何かの雑誌の文字を切り貼りして作られており、団地内の男女関係を誹謗中傷するものだった。ひょんな事から団地に住む、昔馴染みの須藤順子と再会した金田一耕介は、相談を持ちかけられ、団地に向かうことになる。そしてそんな金田一を待っていたかのように、上半身に高熱のコールタールを被り、顔かたちも分からない状態の女性の死体が発見される。被害者の女性の元にも怪文書が残されており、その中に「白と黒」と言う謎めいた言葉が綴られていた。果たして「白と黒」とは何か?そして犯人の正体は―。

金田一耕介が、団地内で起きた事件の解決に乗り出すという、いっぷう変わった長編小説。長編だったので、中だるみした感は否めないが、「顔の無い死体」「切り張りされた怪文書」「謎の言葉」「正体不明の人物」と、ミステリーのお楽しみアイテムは充分に盛り込まれている。

また時代背景として、団地と言う建物形態が認知され、各地で盛んに建てられている時代であると言う事が分かり、建築的にも興味深い。冒頭に作家のS.Y先生が愛犬と散歩するシーンがあり、その散歩の途中でこの団地が建っているのを発見して仰天する場面がある。それらの情報を拾い集め、モデルとなった団地が存在するのであれば、それを特定し、本中に含まれている団地の略図だけでなく、写真や図面なども合わせて眺める事が出来れば、それもまた楽しいだろう。ちなみに「白と黒」の意味は最後の最後で分かるのだが、私は説明されても、何のことだがチンプンカンプンでした。←全く知らなかったのです。

さて今年は、昨年と比べて圧倒的に本が読めていないが、積読本だけはドンドン増えている。本屋さんに行くのを禁止しなければ・・・・。

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