邪気と無邪気


昨夜の話。
小田原駅に普段は見かけない警官が、たくさん立っていた。
APECの警備なのでしょう。
寒いのにご苦労様です。

その警官のすぐ傍で、大声で女性を怒鳴りつけている二十代前半の男性がひとり。
「もっと金、よこせよババァ!」
傍に居た人たちも一瞬ギョッとしたが、どうやらカツアゲ的な犯罪では無いらしい。
年配の女性は俯いたまま、渋々と言った様子で、財布の中から千円札を手渡した。
「もっと出せよ、ババァ!」

怒気を含んだ罵声は続く。

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親子なのか親戚なのか、年の離れた恋人同士なのかは知らないが、大きな声を出して人を恫喝する様子は、とても醜く怖い。まるで人の皮を被った鬼のようさえ見える。一瞬にしてその二人の周囲に、悪しき何かが漂い始め、空気の色さえ変わっていく。警官が二人の様子を気にし始めたとき、男は女性が差し出した金を、ひったくるようにして立ち去った。

後にポツンと取り残された女性は、動くことも出来ずにうな垂れたまま。
何を思っているのか、何を感じているのか、垂れた頭を上げることさえ出来ずに、じっと自分の足元を見ている。女性を包む空気の色が、さらに黒くなる。

一瞬の出来事だったが、不快さは時の長さではなく、心の醜さに比例とするのだと感じた。
私は、まとわりつく不快な邪気を振り払うように、足早にその場から離れた。


不快な気分を引き摺りながら、ローカル線に乗り、自宅の駅に降りた。
駅の改札から外へ出ようと思ったら、突然物陰から二人の子供が、「ワッ!」と飛び出してきた!
私のすぐ前を歩いていた男性が、多分その子たちのお父さんだったのだろう。

そのお父さんを駅まで迎えに来た子供が、お父さんを驚かせたのだと思うが、その男性は全く驚かず、その後ろを歩いていた関係の無い私が、凄く驚いてしまった。
すぐに状況が飲み込めたので、なんだか凄く恥ずかしかった(笑)
でも、楽しい気分になれたことも確か。

同じ大きな声でも、不快な大きな声と楽しい大きな声があり、さっきの不快さを打ち消してくれた声。
嫌な気分を引き摺らずに、家に戻って来れました。

さっ! 快晴の土曜日、頑張っていきましょう!



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