『ルパン、最後の恋』 モーリス・ルブラン著/読了

1922年、フランス。父レルヌ大公が突然の自殺をし、娘のコラは一人残されてしまう。そんなコラを気遣うのは、父の残した4人の後見人。しかもその中には、正体を隠したアルセーヌ・ルパンが居る。
父の遺書には、ルパンは信用に足る人物なので、何かあった際にはその正体を見付けだし、頼りにするようにと書かれていた。やがてコラの血筋が明らかとなり、次期英国王の有力候補とされるオックスフォード公の許嫁だと言うことが判明する。高貴な血をひくコラは、国際的陰謀に巻き込まれてしまうのだが、コラを助けるべくルパンが動き出す! ルパンシリーズ最後の作品――

モーリス・ルブラン没後70年目に発表された本書には、とても新鮮に感動し、懐かしく、心躍らせながら読ませていただいた。小学生の頃に読みふけっていた、ポプラ文庫を思い出しました。

相変わらずルパンは紳士だし、ダンディで、むやみに人を傷つけたりもしません。それどころか虐待されている子供達を守るべく、活動までしています。「謎解き小説」ではなく「冒険活劇」みたいな感じですが、それが魅力だと思います。また巻末には、ルパン最初の事件まで収録されており、たいへん得した気分にさせてくれます。

「未発表作品だったため推敲を重ねられていない」と、あとがきに書かれていますが、確かにそうかもしれません。でも本書から入って、『奇岩城』や『怪盗紳士』などを読んでみると、また楽しめると思います。個人的には『813の謎』は、好きな作品。とても懐かしく、新鮮に読めた一冊でした。


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