『神去なあなあ日常』 三浦しをん 著/読了

なんとか高校を卒業した平野勇気は、ひょんなことから三重県の山奥にある、林業の現場で働くことになる。携帯も繋がらず、人里からも遠く離れた山奥の山村からは、逃げ出すこともままならない。
嫌々ながら山の仕事を手伝い始めたものの、自然を相手に働く人たちの強さや厳しさを知り、少しずつ林業の世界に魅力を感じていくのだった。

帯に「お仕事小説 自然編」と書かれていますが、なるほど仰る通りでございます。
建築の世界で仕事をしているので、木材とは切っても切れない関係にあります。
林業の世界が、儲からない、働き手が居ない、山の管理が出来ないと言った実情を見聞きすることも多く、憂うことも多いのですが、如何ともし難く歯がゆい思いをしております。

そんな林業の厳しく辛い世界を、こうも軽やかに分かりやすく、そして少し楽しく書いていただけると、「ひょっとしたらこの本を読んで、山に興味を持つ人が出てくるのではないか?」などと、軽薄に考えてしまいます。

勿論、そんなに甘くは無いでしょう。それはたぶん著者自信も、承知していることと思います。
だからこそ厳しい厳しいばかりではなく、楽しく、神々しい部分も交えているのでしょう。

林業とは関係ないですが、以前は「罰が当たる」と言った具合に、誰かに罰せられるから悪いことをしないという考え方ではなく、誰も見ていなくても神様に見られている。そして自分自身が知っているから、恥ずべき行為はしないという戒めがありましたが、そんな感覚を全体に漂わせた作品でした。

木は100年単位で育てるのに、その木を使った家が25年か30年程度で朽ちていくのは、如何なものかと考えさせられる一面もあります。重い内容を軽やかに描いている、お薦めできる一冊です。


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