『出署せず』安東能明　著／読了

珍しく、寝るのも忘れて踏み耽ってしまったのは、安東さんの『出署せず』。
これは日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した『随監』を収録した
警察小説『撃てない警官』の続編にあたる第二作目の作品で
構成としては連作短編集の形を取られ、本作には四話の短編と一話の中編が収録されている。

警察小説と聞くと、地味で、話も淡々と進んでいくというイメージがあるが
本作品もやはりそんな感じで、劇場型の派手な事件も起きなければ
奇想天外な密室も登場しないし、予告状を出す怪盗も存在しない。
だけど、妙に生々しい緊張感がある。

ああ、こんな事って本当にあるんだろうなと、思わせる人生の機微があり
そこから芽生える事件への入り口は、自分の身の回りにも起こりそうで怖い。
また警察組織の中の、人と人とのドロドロした関係も緊張感に拍車をかける。
警察小説は、やはり面白い。

という事で、今日は眠い朝です。