『死のドレスを花婿に』ピエール・ルメートル著/読了

表紙を見ても想像が出来るように、これはミステリーではなくホラーに近い。いやそもそも殺人をテーマにしたミステリー小説自体、すでにホラーと言えなくもないが……。物語は、「ソフィー」のパートと「フランツ」のパートが、交互に描かれる。そして「フランツとソフィー」となり、最終章では「ソフィーとフランツ」となる。

あらすじの書き難い物語なのだが、一つだけ言えることは、どの章も総じて怖いのです。人の負の感情とか、現実と夢のはざまを漂うような、不愉快な感覚が作品全体に漂っている。ルメートル独特の不快がまとわりつくような感覚は本作でも同様で、個人的にその感覚は大好き。そしてそんな感覚に惹かれる人が多いから、フランスの作家が描くミステリであるにも拘らず、日本でも多くの方に読まれているのだろう。

日本で翻訳された順番とすれば三番目だが、私は未読だった作品『天国でまた会おう』は、上下二巻に分かれている大作。近いうちに、それも読もうと思っている。

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