隣に民泊が遣って来るかも?

住宅宿泊事業法―略して民泊法。その民泊法が改正され、今年の3月15日から届出や申請がスタートし、6月15日から施行される。賃貸・分譲に関わらず、一定の条件を満たせばマンションでも民泊施設と成り得るし、勿論、一戸建て住宅でも同様。

家主が住んでいながら、部屋だけを貸す場合もあれば、家主が居住せずに施設だけを貸し出すことも可能。2020年の東京五輪を控えて、観光立国推進基準法を成立させた政府は、多くの観光客を呼び込むため、その宿泊先の確保の一つして民泊法が動いているのだろう。でもこの民泊施設と言う管理形態の不明瞭な建物では、すでに犯罪事件も起きているし、不安要素が沢山ある。

そもそも日本人は危機管理意識が低く、良く言えば「誰でも友達で悪い人は居ない」という考え方をするが、悪く言えば「騙されやすい」と言えなくも無い。家主が居住している建物を民泊とした場合でも、宿泊客と家主のトラブルは勿論、隣近所とのトラブルだって考えられる。なぜなら自宅を民泊施設する場合に、隣近所に断る必要も無ければ告知義務も無い。だからある日突然に、隣の家に外国人が入れ代わり立ち代わり出入りするようになれば、隣近所とのトラブルの可能性も出てくるから。

家主がその施設に居住せずに建物だけを貸すような民泊施設の場合ならば、心配要素はさらに増す。鍵の管理や施設の管理・掃除、メンテナンスなどは本当に適切に行われているのかを、しっかりと見極める必要もあるだろう。

またマンションになると、さらに別の心配事が出てくる。分譲マンションの場合には管理規約を「民泊不可」と改定すれば民泊施設を無断で営業することは避けられるが、賃貸の場合はそうはいかない。セキュリティに配慮された賃貸マンションだからと入居した筈なのに、気付いたら見知らぬ外国人が自由に出入り出来るマンションに変わる可能性だってある。当然、観光に来る外国人に、隣近所への配慮などが成されるとは思えないし、それを諭してくれる管理者も居ない。こうなると近隣住民とトラブルが生じるのは必然だろう。

さらに全く別の角度からの心配もある。例えば心理的瑕疵を持っている建物がそれだ。心理的瑕疵物件で新たな買い手や入居者が見つからない建物を、民泊施設として利用したりはしないだろうか? 知らずに利用する人には問題ないのかもしれないが、宅建業法では心理的瑕疵物件は告知義務が明記されているのに、それを民泊施設した場合には違う対応が取れることになる。ちょっと嫌だと、単純に思ってしまう。

 

昨今では核家族化が進み、成長した子供が家を離れるケースが増えている。そこで「2階の子供部屋が空いているから、民泊でもやってみようかね」と、なるかもしれない。寂しい時間と空間を楽しく埋められる場合には良いが、そこにはリスクも伴う事を充分に理解して欲しい。自分達と宿泊客の安全を考え、隣近所への配慮を持ってはじめて「おもてなしの心」が伴う民泊施設となる。民泊施設とは「商売」ではなく、信頼と思いやりが前提の接待に近い様な気がしているのだが、さてどうなることやら。

 

 

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