『推し、燃ゆ』宇佐見りん著/読了

書評サイトを見ていて衝動的に購入、そして、あっという間に読了。

<推しが燃えた。ファンを殴ったらしい>、そんな書き出しから始まった。主人公は女子高生のあかり。あかりの推すアイドルユニット「まざま座」のメンバー・上野正幸が、ファンの女性を殴ったらしいとの情報が流れ、ネットで、あっという間に炎上する。

あらすじを書けば、ザっとそんな感じ。ファンや追っかけ、昔風に言えば親衛隊とも少し違う「推し」。推す対象はアイドルという三次元の人間の時もあれば、二次元のアニメのキャラクターだったりすることもある。推す側の琴線に触れ、「推したい!」と思った時から「推し」は、唯一無二の存在になる。生活の糧となり、生きる目標となり、働くことの意味にも成り得る「推し」。そういう世界の中で生きるあかりの話。けして本書を読んだからと言って「推しとはなんぞや?」が、分かるわけではない。ただ分かったような気にさせてくれるだけで、本当の意味で人にとって一番大切なものが、何かなんて分かる筈がない。

筆者の宇佐見さんは、若干21歳。主人公のあかりは、高校生(たぶん17歳)。おじさんの私が読むには少々辛いところもあるが、何となくはわかる。なぜなら私にも「推し」がいるから。ただ、推しに対する私の熱量とあかりの熱量は、比べ物にならないぐらいの差がある。まさに人生を賭けている勢いがあり、それを若さというのか、あるいは彼女自身が抱えるパーソナルなものなのかは、読んで確認してほしい。

読後感とすれば、ふだん手を出さないジャンルに触れて新鮮だった。ただし読者層を意図的に絞っているのか、主人公が高校生の影響なのか、若干今どき風のノリや勢いで書かれている感じで、読みにくかったところがある。でもその読み難さも含めて、狙いなのだと言われたら納得する。

段ボールいっぱいに集めた推しの写真やCD、雑誌の切り抜きやライブのチケットよりも、洗濯機から取り出した推しの「ただ一足の靴下」の方が、はるかに重い。会いに行けても、握手をすることが出来ても、人より多くのCDを買って投票したとして、その事実は変わらない。ただそこに夢と希望を見ているだけ。だからこそ推しは尊いと言えるかもしれない。「推し」の居る方は、ぜひご一読を。

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