『本と鍵の季節』米澤穂信 著 

高校二年生で図書委員を務める堀川次郎と松倉詩門の二人が、本と鍵にまつわる謎を解き明かす青春図書室短編ミステリ。本書には『913』『ロックオンロッカー』『金曜に彼は何をしたのか』『ない本』『昔話を聞かせておくれよ』『友よ知るなかれ』の六作品が収録されています。それぞれの物語に本が大きく関連していますが、それ以上に図書室のあの独特の雰囲気を感じることが出来て、それがまず嬉しかったです。

小学・中学・高校のどの時代にもそれぞれに図書室がありましたが、私にとって思い出深い図書室は何と言っても小学校の図書室です。とくに放課後の人けのない図書室、廊下を歩く人の足音も聞こえない静かな場所でしたが、私が本を好きになったきっかけは小学校の図書室でした。

本の裏表紙に貸し出しカードが挟まれており、借りた人の名前と借りた日、返した日付が図書委員によって書き込まれていました。だからカードに誰の名前も書かれていな本を借りる時には、凄く嬉しかったことを覚えています。また自分の前にこの本を借りた人が、意外な人だったことに驚き、廊下でその人とすれ違うと少し嬉しかったなんてこともありました。それから学校の図書室って、理科室とは違う不気味さや怖さみたいなものがあったことを覚えています。そんなことを思い出させてくれる作品です。

米澤さんと言えば読書家として有名ですが、本書ではマニアが喜ぶ深くディープな世界ではなく、誰もが覚えている図書室の雰囲気・匂いみたいなものを感じられる作品に徹しています。そこがまた楽しい作品でした。

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最近、読んだ本のことを書いていませんが、読んでいないのではなく、たんに書いていないだけです。

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