依頼者に必要な能力

仕事を依頼するときに大切なこととは、依頼者が「なにを、いつまでに、どうしてほしいと考えているのか」を、正確に伝えることだと思います。伝え方は様々です。事前に紙に書いてくる人もいれば、メールで希望を伝えてくる方も居ますし、熱量を以て話される方もいらっしゃいます。方法は何でも良いのです、ただ正確に受け手側に伝えてくれさえすれば、受け手側はそれに回答を示します。

目的は理解したが作業時間に問題があるとか、作業時間は確保できるが予算的に難しいとか、依頼内容とスケジュールに対して、あるいは報酬に関して意見や回答を提示します。その回答を以て、それじゃあ頼むとか、それなら他所をあたると言った良識ある対応で、依頼するか止めるかを判断します。いずれにしても「依頼します」と申し込んできたのならば、情報を正確に伝える能力だけは、依頼者側には最低限必要となります。

ところが稀に、この能力が欠けている方がいらっしゃいます。なんとなく遣りたいことは伝わるのですが、いつまでに遣れば良いのかが分からない。つまりプロジェクト全体に対する大まかなスケジュールが分からない。勿論正確でなくても良いのです。漠然とこのぐらいの時期には完成させたいで構わないのですが、それが分からない。だから依頼する業務に対して、どのぐらいの時間的猶予があるのかもわからない。その上、何を依頼すればよいのかが分からない。こんな作業とあんな作業があるので、その両方を行ってほしいと言われれば対応できるのに、そんな作業があるのですか? きっと誰かがやってくれるのでしょう―と言われたら、それが私の業務の範疇なのかが判断できない。一事が万事そんな調子なので、こちらは何を相談されているのか、どんな業務を依頼されているのかが理解できない。

で、この手の方に多いのは、なぜか専門的な調整や諸官庁との打ち合わせを自分で遣りたがる。やる気はあるのかもしれないが、残念ながら専門家が話したら5分で終わる話を、2時間掛けても理解できていない。さらに本人が理解できていない情報の伝聞を、こちらに伝えようとするから、簡単な話が複雑に聞こえてしまう。

そんな状態でこちらが依頼を受けるべきか迷っていると、私の前に数社に断られているので、是非頼みたいという。そんな状況なら仕方ないかと、現在携わっている業務のスケジュールを頭の中でグルグルと計算しながら、なんとかなるかと算段を付けてお引き受けすることになる。

正式な業務依頼書にサインをいただき、追って詳細を正しく伝えられる担当者から連絡させると言い打ち合わせ終了。そして一日が経ち、二日が経ち、三日が経つが連絡は来ない。他の仕事との都合もあるので、仕方なくこちらから問い合わせると「あの件は別に依頼することにしたから預けた書類は破棄してください」と、なんともアッサリとした返事……。

いやいやいやいや、こちらから問い合わせて、初めてそれを伝えてくるのってどういうことですか? 正式に申込依頼書を書いているので、これ契約不履行になるけど分かってます? そんなことで争うつもりは毛頭ないけど、断るなら断るで、それなりの対応ってありますよね。いったいどういう育ち方をすれば、そんな出来損ないの対応しか取れない大人になるのでしょう。しかも依頼してきた内容は住宅などの話ではなく、会社を興すのでその事務所や営業許可を取得するために関係官庁に許可を取る話ですよね。そんな対応しかできない人が、いったいどんな会社を興し、社会的弱者の救済モデル事業を行うというのでしょう。その会社の収入は国からの補助金で賄われるというのに、こんな方が仕事をしてこの国は本当に大丈夫なのか? と、ガッカリしてしまいました。私が払う税金の一部が、この方の興す会社に補助金として支払われると思うと、本当に気分が悪い。

と言う話を愚痴っていたら、「初めに他の事務所数件に断られているって言ってたよね? その段階で断らない貴方が悪い」と指摘され、ぐぅの音も出ずに撃沈。

いま、仕事のご依頼が重なってバタバタしています。なかには作業が遅れてご迷惑をおかけしているクライアントもいらっしゃると言うのに、こんな方に時間を取られた自分の阿保さ加減に腹が立ちます。すみません、仕事が遅れているのはそんな理由です……という長い言い訳。

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