『立原道造 詩集』立原道造 著

夢見たものは ひとつの幸せ

願ったものは 一つの愛

そんな書き出しで始まるのは詩人・立原道造の『夢見たものは……』という作品です。

詩人でもあり建築家でもあった立原氏は、24歳という若さでこの世を去りました。

その作品世界を網羅する一冊です。

私が立原氏を初めて知ったのは17歳の頃ですから、かれこれ50年近い遥か昔のこと。

詩人としての立原氏を知り、後に建築家であることを知りました。

立原氏の詩に初めて触れた時、強く「個」を感じさせ、同時に「孤」をまとっているような気がして、思春期の多感な自分に刺さったのだと思います。後に病に倒れ、恋人の元に戻り看取られて他界するまでの短い時間の中で、静かな時間の中に身を置きながらも、もっと静かな時間と安らぎを求めて藻掻いている。

それならば恋人の元に戻れば良いと思うのにそうはせず、それでも人のぬくもりや優しさを欲しているように見えていました。

今読むと、孤独の中に身を置くことで安らぎを感じていることも気が付きます。ただそれでもなお、迷い悩む息苦しさだけは変わらずに感じられました。

あとがきの岡本勝彦氏の「詩人立原道造について」と、蜂飼耳氏のエッセイ「地上三メートルの音楽」は、読み応えのある内容でした。

恋人との暮らしを夢見て描いた「ヒヤシンス・ハウス」のスケッチ、そう言えばヒヤシンスの花言葉は「悲しみを超えた愛」でしたね。


安井俊夫|天工舎一級建築士事務所
一級建築士・『建築トリック謎解きガイド』著者。建築や暮らし、本について日々感じたことを書いています。