最近、読書離れが進んでいるという話を聞くことがあります。
そう言えば、街中で小さな本屋さんを見掛けることも、めっきり減りました。また、電車の中でスマホの画面を眺める人はたくさん見かけますが、本を読んでいる人を見ることは滅多にありません。ひょっとすると、スマホやタブレットで電子書籍を読んでいるのでしょうか。
私はやっぱり紙の本で読みたい側の人間なのですが、それって古いのですかね……。
そんなことを思っている時に読んだのが、本書『世界でいちばん透きとおった物語』でした。

フリーの校正者の母と二人暮らしをしている大学生の藤坂橙真だったが、母親が交通事故で急死してしまう。橙真の父親はミステリ作家の大家なのだが、母親とは不倫の関係だったため、戸籍上の繋がりは無かった。そんなミステリ作家の父・宮内彰吾が癌で他界する。
彼は晩年、大作を執筆していたのではないか? 遺作となる作品の遺稿が見付かれば話題になるに違いないと、宮内家の長男から遺稿探しを依頼されることになる――。
遺稿の行方を捜して、会ったこともない父親の交友関係者(複数の愛人たち)に話を聞き、生前の父親のことを少しずつ知ることになる。
本作の謎は、「その遺稿の行方」と、書名だけは知ることができた『世界でいちばん透きとおった物語』とは、一体どんな話なのか? という二点。
途中で実在する作家・京極夏彦氏の話などにも触れることから、どんどん引き込まれていくことになるのですが、さて真相は如何に――って感じで、面白かったです。
で、一番肝心な話ですが、
この本は紙の本で読まないと、ぜーーーったいにダメな本です。
それが私の一番の感想です。
紙の本は不滅です。
安井俊夫|天工舎一級建築士事務所
一級建築士・『建築トリック謎解きガイド』著者。建築や暮らし、本について日々感じたことを書いています。